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発掘80s

【発掘80s】第2回 『鬼ママを殺せ』(1987)

ここは80年代好きの後追い世代による80年代に作られた傑作、あるいは忘れ去られているかもしれないけど傑作ではないかと思う作品をピックアップ(=発掘)して稚拙な感性ながらその魅力を紹介していくコーナーです。※文章は自身のFilmarksにおけるレビューを一部加筆&修正したものになります

今回紹介するのはビリー・クリスタルとダニー・デヴィート主演のサスペンスコメディ『鬼ママを殺せ』。執筆した小説の原稿を奪い結果売れっ子になった前妻を持つ小説家の男と彼が開く小説教室の生徒であり意地悪な鬼ママにうんざりしている男が居て、この二人が交換殺人をしようとするストーリーで、監督もダニーが務めており今作が長編映画初監督作となります。

ビリー演じる小説家ラリーは前妻を恨むも死は願ってなく、ダニー演じる生徒のオーウェンに小説を書くアドバイスとしてヒッチコック監督『見知らぬ乗客』を観る事を提案。しかしそれを観て、交換殺人を提案したと勘違いしたオーウェンはハワイに滞在中のビリーの前妻を船から突き落とし結果ラリーはオーウェンの鬼ママを殺さざるを得なくなる・・というのが大まかな流れ。

最初に言っておきますが、序盤からオーウェンによる鬼ママに毒入りコーラを飲ませたら、あるいはハサミを耳に突っ込んだらどうなるか、という想像を映像で描いてくれる点は有りがたいものの大笑いする要素は少なめ。

鬼ママにオーウェンがラリーを従兄のパディだと紹介するも「そんな従兄居ないだろ!」と突っ込まれ間違いを訂正&フライパンでラリーを殴ったり、ベッドで横になる鬼ママに計画の事を正直に話すも目を開けたまま寝ていたというオチ、オーウェンが仕掛けたトラップにビリーが掛かってしまう、耳に直接トランペットの轟音を聴かせ死んだと思ったら「夢の中でルイ・アームストロングが殺そうとしてきた!」と目覚める辺りや列車から落ちそうになりなんとか救出を試みる終盤はまあまあエキサイティングながら更に色々面白く出来た余地を感じてしまう内容でもあります。

幼い頃の父との思い出にまつわるコインのコレクションも少し感動的ながらメインのストーリーに関わるものでもなく、鬼ママも実は違った面が・・という意外な展開が有るわけでもなく、やはり欲を言えば少々キリがない感じはあるのですがこれまでの禍い転じて・・なラストは後味悪く無く、二人が同じタイミングで書いた本の内容故一瞬凄まじい緊張感が起こるも一安心、なミスリードを含む展開はなかなか秀逸でなんだかんだほのぼのとした所はこの時代のコメディ映画の良さを感じる事が出来たりします。

主演二人の息の合うパフォーマンスにも注目ですが、やはり圧倒的存在感を見せてくれるのは鬼ママ。それを演じたのは「グーニーズ」のギャングママや<頭爆発>「デッドリー・フレンド」でやはり意地悪な隣人を演じていたアン・ラムジーで、今作における凄まじい形相とヒステリックな演技でアカデミー助演女優賞にノミネート(翌年に亡くなったのが非常に残念!)。

また、ジャズサックス奏者のブランフォード・マルサリスや「スタンド・バイ・ミー」「最高の人生の見つけ方」でも知られるロブ・ライナー監督も出演しており、北米では有名な女性司会者オプラ・ウィンフリーも本人役で登場。更にラリーの恋人役はSFパニック「C.H.U.D.」のヒロインのキム・グライストと、日本では知る人ぞ知る(?)タイプながら豪華な他のキャストにも注目です。

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特に80年代90年代の洋画が好きです!未配信未DVD化の良い作品を発掘するのが趣味だったりします。