【映画で解決!捏造お悩み相談室】第4回 Q「世界平和を実現したい・・・」
悩み事の尽きない現代社会を生きるのは大変なことです。ことにその悩みを打ち明ける相手がいない、打ち明けても有効な解決策が出てこないという場合は尚のこと。でも大丈夫、そんなあなたのお悩み、きっと映画が解決します!
なぜ、人は争い続けるのか。人類の歴史は暴力から始まった。ネアンデルタール人、デニソワ人、競合するヒトとの勢力争いを勝ち抜いて現生人類ホモ・サピエンスは今日の世界を支配するに至る。これは、人類を開放へと導くアリアドネの糸だったのか、それとも、人類を終わりなき争いに縛りつける、シーシュポスの岩だったのか。ロシアによるウクライナ侵略、そして今般のハマスによるイスラエル大規模テロ攻撃と、その報復としてのイスラエルのガザ地区侵攻。むろん、これは氷山の一角に過ぎない。そう、氷山の一角に過ぎないのだ。たとえひとときでもいい、世界中の争いを止め、世界平和を実現したい。よろしくお願いします。
世田谷区 ソープランドは客にイソジンを強要するな
真剣なお悩みを打ち明けてくれてありがとう。ソープランドは客にイソジンを強要するなというペンネームににじみ出てしまっているあなたの要求もしくは欲望にはまったく賛同できないけれど、世界平和を望む気持ちはしかと受け取ったよ。
世界平和。これは人類共通の悲願だね。人類の長い歴史上おそらくは今までに一度も実現したことのない、だからこそ人類の目指すべき、いや、人類が存在することの意味でさえあるのかもしれない。もしも世界中の争いを止めて世界平和を実現できれば、人類は今よりももっと有意義で楽しいことができるはずだ。
悲しいかな、けれども世界平和実現への道筋はたとえ半歩先でもまるで見えない。いや、それどころか、世界はますます不安定で混乱していくようにさえ見える。そんな世の中で世界平和に貢献できる映画など存在するのだろうか?もちろん、存在する!それがこの映画だ!
『まぼろしの市街戦』!!!!
カルト映画の名作として名高い、1966年に公開されたフィリップ・ド・ブロカ監督の戦争コメディ!時は第一次世界大戦末期、イギリス軍と鍔迫り合いの状態にあったドイツ軍は戦場と化したとある町に時限爆弾を仕掛けて撤退する。その情報を聞きつけたイギリス軍司令部は町の奪還のために主人公の伝令係に時限爆弾解除の命を託すのだが、無人のはずの町で彼が目にしたのは町の病院に取り残された精神病患者の人々。彼のおかげで外に出ることのできた病院の人々は彼をキングと崇め、自分たちを誰も束縛することのない町にユートピアを築くが、時限爆破の予定時刻、そしてイギリス軍とドイツ軍の再侵攻は刻々と迫っていた…。
健康な人々から狂人と見られ病院に閉じ込められていた精神病の人々。しかし彼ら彼女らは病院の中でもコスプレをしたりゲームをしたりと遊ぶばかりでまったくもって平和そのもの。あまり上品ではない流行り言葉で言えば彼ら彼女らは「生産性」のない人々ということになるだろう。けれども、「生産性」のあるはずの健康な人々が病院の外の世界で国ぐるみの殺し合いという狂気の沙汰を繰り広げているのだとすれば、称賛されるべきはいったいどちらの側だろうか?狂っているものがあるとすれば、それは正義や正当防衛の建前の下での不毛な殺し合いが絶えない世界の方ではないのか?
制作から半世紀以上経ってもその問いの鋭さは悲しいことに一向に衰えないこの映画。ということで世田谷区のソープランドは客にイソジンを強要するなさん、元祖「全裸中年男性」映画でもある『まぼろしの市街戦』から、世界を平和にするための方法を学んでください!そしてソープランドでは嬢の言う通りに必ずイソジンうがい薬でプレイ前の口内殺菌を行ってくださいね!それが世界平和の第一歩!
※質問は完全に捏造なので応募とかしてこないでください。