【網走シネマ矯正院】第2回『オオカミ狩り』
四月ッ!! 新年度と異動と殺意の季節ッ!!!
部署異動による新たな出逢い(殺意)とトキメキ(仕事)を胸に抱いて、飛び出そう大海原へッ!!!
この世はでっかい宝島(蠱毒)ッ! そうさ今こそアドベンチャー(ジャンル変更)ッ!
限界☆1年生☆一週間を終えたバキバキのマックスハートで初日レイトショー見てきた『オオカミ狩り』で感じたのは完全なる己の老いでございました。
『ディヴァイン・フューリー 使者』まではまだなんとか見分けのついていた若い韓国男性俳優がみんな同じ顔に見えて仕方がございませんのッ。
いやほんと…特徴ないのが特徴なんか?って思うくらい…印象に残らんくてのう。
そのくせ配給の売り方が狂犬入れ墨男の中の人の特典らしいので、まあ…演者のファンの方が楽しんでお金落としてその売上で更にいい感じの韓国映画が日本で公開されれればこちらも万々歳でございます。
いやでも輪をかけてここ数年の韓国映画における若い男性俳優の顔の区別が本当につかなくて、それで困ることは今のとこないんですけど(オッサンの顔の区別がぬるくできりゃあいいと思っておりますの)、区別つく方々はすげえなあって…本当に心から尊敬しますわ…。
昔は2.5や特撮出身の俳優の顔と名前を覚えては戯れていましたけど、今もう無理ですもの。興味のかけらもなくなったのは、演者の人口が増えたからですかねえ…。
自分の興味のあることしか理解しようとしないこの姿勢が老いなのでしょうね。俳優の見分けに関してはもう諦めて老いることにしますわ。
人生諦めが肝心ですものね。諦めることで見える景色もあることでしょう安西先生。
顔の区別がつかないに関連して、最近の韓国映画、なんだかマンネリ気味な気がするのは気のせいでしょうかね。
『殺人鬼から逃げる夜』を見た時に、韓国映画お得意の過剰暴力描写と倫理観の欠落した人間描写が、なぁんか乗れなくて。
私の韓国映画遍歴は『新しき世界』なもんで素人も素人ではございますけれど。
過剰な暴力描写と倫理観の欠落に胸をときめかせたあの頃を感じるような映画を、この頃の韓国映画に見出だせないのでございますわ。
今回の『オオカミ狩り』ではまさしくプッシュされている若い俳優の演じた役がど畜生だったはずなのですけれど、オッサンを何人殺そうが刑事を何人殺そうが、なあんか生ぬるく感じてしまったんですよね。お決まりの展開だとこちらが飽きてしまっている。
白眉は、殺した刑事の死体に立ちションベンしながらタバコ吸って「痺れるぜぇ…」などとのたまうシーンなのでしょうけれど、これを見た時に犬のマーキングかな?とか思ってしまって笑っちゃったんですよね。
一周回ってギャグシーンに思えてしまったんでしょうか。不思議ですねえ…。
単に彼に悪役の良さを感じなかっただけかもしれませんが。
フィリピンに逃げて収監された韓国人犯罪者を船で移送する三日間が血で血を洗う惨劇となった、というのが本筋ですけれど、犯罪者対警察官の構図が崩れるのは早々に示されているので、それほどジャンル変更が急に行われるという感覚はありませんでしたわ。
観客の視点となる登場人物が死んで死んで死んで最終的に生き残った一人の物語となったとき、これは続きを作るしかないよね?というオチになったのがなんとも苦かったですし、青年漫画みたいでしたわね。ヤンジャン掲載漫画というか。
ものすごーく漫画実写化っぽく感じられましたわ。
今の韓国映画界はこうした、興行収入を度外視した挑戦的な映画作りができていいですわね。
韓国映画にしては女性が性的に犠牲になるシーンがなかったのがめずらしかったのと(スプラッタとしては十分紅い花を添えていただきました)、ステキ☆日本描写が楽しかったので、ぜひ多くの方に見ていただいて『オオカミ狩りごっこ』をしていただきたいですわね。
日本人は楽しんでステキ☆日本描写を見れると思いますわ。
「ケンサン」呼びは高倉健リスペクトなんでしょうか。
戦前の日本軍は素晴らしい技術を持っていたのですねえ。まさしく『武器人間』ですわ。わたくしは大好きですわ。
一番個人的に盛り上がったのが冒頭の事故った移送シーンでございましょうか。
個人制作の爆弾で自らおよび周囲もろとも地獄にお前を送ってやるという強い意志と、ちぎれた足、そして「これからやらかしますんで宜しくおねがいします」とでも言いたげなフックの強さが非常に楽しかったです。
ま、これからもわたくし韓国映画を見てまいりますのでね、そこでまた若い男性俳優の顔の区別がつくようになりましたら良いですね。いっそ初めから面の皮を剥いでいただくような映画だと区別がつかなくても問題ないかもしれません。
いいですね、顔剥ぎ特化スプラッタ映画、お待ちしておりますわ!