映画館を埋め尽くす人、人、人。

　8割以上埋まった客席。

　大スクリーンと大音量で流れる自主映画は、5割増で良く見える。

　上映後、ロビーには大勢のお客さんと関係者がなだれ込み、その熱狂はさながら軽い暴動だった。

　いよいよここまで来た。

　

　

A MOVIE TOYBOX ORIGINAL SERIES

『自主映画で1億稼ぐ方法』

　

　

　2022年10月、横浜の老舗ミニシアター、横浜シネマ・ジャック&ベティでの自主映画の上映が無事に終わった。

　自主映画の映画館での興行は「1日平均30人呼べればそこそこ頑張った方」と聞く。全6回の上映で215人の来場は、とりあえずは失敗ではない部類だったのではないかと思う。

　今回企画したのは『合同上映会ビヨンド7』という自主映画の上映イベント。応募で集まった76作の自主映画を3ヶ月の間毎週5作ほどYouTubeで配信し、その週の人気投票で1位だった作品を映画館で上映するというイベントだった。

　作品も役者も作家も知名度はそこまでない。しかし、なんとか人は集まった。これで俺も晴れて億万長者に・・・なれるわけ無かろう。

　「自主映画で1億稼ぐ方法」──そんなものは、ない。

　少し待ってほしい。読むのをやめないでほしい。

　だって、君も答えを探しているんだろう？

　私もだ。

　確かに今はないけれど、何とか見つけていきたい。

　この連載は、自主映画で1億稼ぐまでの軌跡を記録したドキュメンタリーである。

　自主映画で億万長者になる最終回を目指して。

　

　そもそもお前は誰だという話である。申し遅れました。私は神奈川を拠点に活動している京浜ビデオ企画の二階堂方舟（にかいどう　はこぶね）と申します。

　本来は自主映画を撮りまくる予定だったのだが、怠惰で制作はすっかり滞り、年に1〜2回ほど上映イベントをやるのが活動のメインとなりつつある。

　主なイベントは公募で集まった多種多様な自主映画を無審査で流しまくる『合同上映会ビヨンド』(全7回開催)。昨年は遂に映画館での上映を敢行。

　その他には自主映画でシネコンをジャックする『21.12.19 シネコンジャック』なども開催。こちらはお台場のシネコンで自主映画を上映した。

　最近感じることは、自主映画で1億稼ぐ以前に、映画って全く儲からないんじゃないかということ。そこからがスタートだ。ミッションはインポッシブルな方が面白い。

　

億万長者への道・その１

「自主映画は儲からない。むしろ儲かったらもはやそれは商業映画なのでは」