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たまに面白い映倫

【たまに面白い映倫】第14報 『ソウ6』ほか

〈このコーナーはたまに面白い映倫の年齢区分指定理由や文章表現などを紹介するコーナーです〉

ここ二三ヶ月映倫の審査済み作品リストが更新されていないので過去掲載分からちょっと面白い映倫テキストをピックアップしてみた。映倫サイトにアップされているもっとも古い審査データは2009年8月なので、今回は2009年8月~12月の審査完了作の中から二本どうぞ。

ソウ6

ジグソウの後継者はストラムではないかといわれ殺人ゲームは終わったかに見えた。果たして真犯人は。ホラー映画。殺人ゲームながら刺激の強い殺傷・鮮血・肉体損壊の描写が数々みられ、標記区分に指定します。(1時間30分)

https://www.eirin.jp/

2009年といえば2023年現在から見て実に14年前。光陰矢の如し、それだけ時を経れば担当者も変わるだろうし最近では見られなくなった映倫テキストというのも散見される。R15に指定されたこの『ソウ6』の場合はやはり「殺人ゲームながら」の文言だろう。それはながらで合っているのか。「殺人ゲームだから」の間違いではないのか。そりゃ殺人ゲームなら「刺激の強い殺傷・鮮血・肉体損壊の描写が数々みられ」るだろうよ。でもこの時代はまだデスゲームの呼称が一般的ではなかった気がする。殺人ゲームの「ゲーム」という部分に引きずられて「ゲームなのにこんなに血が・・・」というニュアンスなんだろう。なんだかこの頃は平和だったんだなと感じてしまう映倫テキストである。

エクトプラズム 怨霊の棲む家

息子のガン治療のため一家は病院の近くに引っ越すが、その借家は暗い過去を持つ、遺体安置所を改装した古い家で、超常現象が起こり始める。ホラー・スリラー。刺激的な恐怖の表現がみられるが、親又は保護者の助言・指導があれば、12歳未満の年少者も観覧できます。(1時間43分)

https://www.eirin.jp/

この映画、PG12なのだが、その理由が「刺激的な恐怖の表現」。なんなんだそれは。先に挙げた『ソウ6』に見られるようにホラー描写を理由に年齢指定が入る場合は通例どのような描写か映倫テキストには書かれる。『ソウ6』なら「殺傷・鮮血・肉体損壊」がそうだが、この『エクトプラズム』の場合は「刺激的な恐怖の表現」。きわめて曖昧である。殺傷などとは書いてないからおそらく血が噴き出すような描写ではないのだろう。あらすじを読めば心霊系のオカルト映画と考えられるのでその点からもいわゆるゴア描写やスプラッター描写が「刺激的な恐怖の表現」ではないことは想像できる。ではなんなのか。12歳以下は保護者同伴が望ましいが保護者がいなくても見ることができるPG12とはいえ、年齢指定がつくほどの「刺激的な恐怖の表現」なのである。参考になるかどうかはわからないがJホラーの重鎮・高橋洋の『恐怖』はなかなか危ない雰囲気の漂うオカルト映画で脳外科手術のシーンなども登場するが年齢指定はなし。高橋洋の映画をも凌ぐ「刺激的な恐怖の表現」・・・映画の内容がとても気になってしまう映倫テキストであった。

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ゆるふわ映画感想ブログ映画にわか管理人。好きな恐竜はジュラシックパークでデブを殺した毒のやつ。Twitter→@eiganiwaka