【あの映画のあれ】あれ4 『ロッタちゃん はじめてのおつかい』などに出てくるイースター
欧米の映画で結構登場するわりに考えてみたらどんな行事なのかよくわからないものといえばイースターはその筆頭じゃないでしょうか。現在リバイバル上映中の『ロッタちゃん はじめてのおつかい』もクライマックスはイースター。でもなにやってんのか映画を見てもよくわかんない。ということで今回はこのイースターをネットで浅く調べてみました。
まずこれはなんの行事かということですが、どうやらクリスマスと結構密接に関わっているらしいキリスト教の重要行事。クリスマスは降誕祭とも呼ばれるイエス・キリスト降臨の日。誕生日だと思ってたんですがイエスの正確な誕生日は不明なので、とりあえずこの日をイエスが降臨した日ということにしようみたいな感じで決まったらしい。それに対してイースターは復活祭とも呼ばれ、イエス・キリストの復活した日という設定のようです。名前の由来はギリシャ語かもしれないが詳細不明とのこと。
で、グレゴリオ暦(今の一般的なこよみ)で冬至は12月21日ですが、ローマ歴では12月25日が冬至。だからクリスマスはそれが制定された当時は冬至(ダジャレではない)に合わせた冬の到来を告げる行事でもあったようなのですが、一方イースターが祝われるのはWikipediaによれば「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」。なにやらややこしいですが、つまり冬至のクリスマスに対してイースターは春分、イエスも目覚めましたし春の到来を告げましょう祝いましょうのおめでたい行事ということ。面倒くさいしそんな大事な日ならクリスマスみたいに日付固定にしちゃえばいいのにと思うんですが、そういうわけにもいかないんでしょう。
この日、イースターを祝う人たちが具体的に何をするかといえば、映画の中ではイースターエッグと呼ばれる彩色した卵を庭とかに隠して子供たちが探す遊びをよく目にしますが、それはイースターを祝う広い地域で必ずしも一般的なものではなく、基本的にはお菓子とかお肉とかおいしいものを食べる日とのこと。というのもイースターの前の40日ほどは四旬節といい、最近ではさすがにやらないのでしょうが、昔のキリスト教徒の人はこの時期にイエスの受難に倣ってかイスラム教みたいな断食をやっていて、卵を含む肉類などは食べることができなかった(動物性の食品がダメなんでしょう)。なのでイースターは断食が終わる日でもあり、みんなで動物性のおいしいものを食べましょうとこのようなことのようです。ちなみに、なぜ卵がイースターの象徴のようになっているかというと、諸説あるそうですが卵が割れて生命が誕生するイメージとイエスの復活のイメージを重ねてる説が通説っぽい。
『ロッタちゃん はじめてのおつかい』にはイースターの日の朝にロッタちゃんが変な毛皮みたいのを着てイースターお菓子を仕込むというシーンが出てきます。これがなんの毛皮なのかはわかりませんが、おそらくロッタちゃん的にはウサギに扮したつもりだったのだと思います。イースターエッグ探しは主に英語圏のイースターで行われることから、これはそうした地域固有のイースターの伝承のようですが、イースターエッグはイースターラビットというウサギが運んでくるという。そういえば『イースターラビットのキャンディ工場』なんて映画もありました。
調べてみると実はクリスマスに匹敵する、もしくは地域によっては上回りさえするほどの一大行事だったイースター。なのにクリスマスと違って濃いキリスト教文化圏以外では無名に近いのがなんか不公平な感じですが、キリスト教的に重要度が高いからこそ、非キリスト教圏には伝播しにくかったのかもしれません。それにしても、こうして再び『ロッタちゃん はじめてのおつかい』を眺めてみますと、この映画がイースターで終わることはなにやら意味深です。もしかするとそこには卵からヒナが孵り(※イースターエッグは通常ゆで卵。現在では卵形のチョコなどお菓子も多いらしい)冬至から春分に季節が移り変わるように、ロッタちゃんの成長を示す意図があったのかもしれません。
ちなみに個人的に印象深い映画の中のイースターは『クリッター2』の毛玉型殺人宇宙生物クリッターがイースターエッグ探しの行われる教会の庭に紛れ込んでしまい、イースターエッグを探す敬虔な人々を片っ端から食い殺していくイースターです。