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映画で解決!捏造お悩み相談室

【映画で解決!捏造お悩み相談室】第13回 Q「地球を乗っ取りたい!」

悩み事の尽きない現代社会を生きるのは大変なことです。ことにその悩みを打ち明ける相手がいない、打ち明けても有効な解決策が出てこないという場合は尚のこと。でも大丈夫、そんなあなたのお悩み、きっと映画が解決します!


どうも宇宙生物です。地球乗っ取りたいんですけどどうやったらいいですか?

山形県 もち米ふみ子  

う~んこれはまた直球の質問!さすが宇宙生物だね!地球生物だったらばまぁ礼儀というかなんというか言いにくいことはもうちょっと回りくどい表現でオブラートに包んで聞いたりするものだけど、宇宙生物だからそんなものは必要ないわけだ!考えてみればオブラートに包んでも包まなくても言いにくいことは言いにくいこと!内容が変わらないならストレートに言ってしまった方が合理的で無駄がないね!こう考えてみれば、宇宙生物に比べて地球生物のとくにヒト属はとても不合理なコミュニケーションを行っている、なんとも不思議な生き物と言えるかもしれません!

さて、山形県のもち米ふみ子さんのお悩みは地球を乗っ取る方法を知りたいということだね!実は私は地球人!よってもち米ふみ子さんの種族に虐殺されるか寄生されるか星から追い出されるかする側ということになるね!その立場から地球を乗っ取るためのアドバイスをするというのは正直、どうなのかと思いました!でもお悩みはお悩み、地球生物も宇宙生物も変わりません!宇宙生物のお悩みだからと差別して答えないのはよくないと私は思います!だから、こんな映画を今回はもち米ふみ子さんに紹介したいと思います!

『ザ・スタッフ』!!!!!

宇宙生物の地球侵略を描いた映画は数あれど、この映画ぐらい巧妙な地球侵略を描いた映画は数少ないかもしれません!その方法とは、美味しくなること!この映画に登場するスライム状の宇宙生物は色が白いので見た目はまるでアイスクリーム、食べてみたら美味しい上になぜか地底から無限に湧き出ているようだったので食品会社が目をつけて売り出すことにしました!なにせ湧き出ているものだから人件費やパッケージ費用を除いた原価はゼロ円ドル!愚かな地球アメリカ人たちは金儲けのためにそうと知らず宇宙生物の地球侵略にせっせと協力するというわけです!

このアイスクリームに擬態した宇宙生物を食べてしまった人は身体の中から逆に宇宙生物に喰われてゾンビみたいに人を襲うようになり最後には溶けて宇宙生物と一体化してしまいます!このようにして宇宙生物はどんどん拡大・拡散、ぜんぜん労せずして地球侵略をしてしまうのですから、うーんじつにおそろしい!といってもホラー演出は迫力がなく、スライム状宇宙生物の特撮は1950年代の怪獣映画のような素朴さで、それはそれで味わい深くもあるものの、映画自体はあまりおそろしいものではありません。どちらかといえばスライム状宇宙生物の古典映画『マックィーンの絶対の危機(ピンチ)』を社会風刺を加えてアレンジしたパロディ的な作品と言えるかもしれません。

監督・脚本はアメリカB級映画界のアイデア王ラリー・コーエン。コーエンの本業は脚本家なので演出面では物足りなさも感じますが、アイスクリームが地球侵略を企むというストーリーはやはり一風変わったヘンテコな面白さ。この『ザ・スタッフ』は1985年の作。スライム状宇宙生物ホラーの金字塔的な作品である『ブロブ/宇宙からの不明物体』(『マックィーンの絶対の危機(ピンチ)』のリメイク)は1988年の映画なので、もしかしたら『ブロブ/宇宙からの不明物体』にも影響を与えたかもしれないという、侵略ものSFホラーが好きな人なら見逃せない隠れた佳作と言えましょう。ということで山形県のもち米ふみ子さん!地球人の私から地球侵略を企む宇宙生物であるあなたへのアドバイスです!溶けてください!

※質問は完全に捏造なので応募とかしてこないでください。

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ゆるふわ映画感想ブログ映画にわか管理人。好きな恐竜はジュラシックパークでデブを殺した毒のやつ。Blueskyアカウント:@niwaka-movie.com