【放言映画紹介 ウチだって社会派だぜ!!】第2回 神真都Qの人と見たい映画
ウクライナ侵攻が始まってからニュースは戦争一色になった。それまで主役だった新型コロナはどこへ行ったのだろう。感染者が大幅に減ったわけではないのだが、3回目摂取も済ませたしマスクして手洗いしてりゃ、いつも通りでいいだろというお気楽ムードが社会に漂っているような気がしてならない。しかし、一部ではコロナはまだまだホットな話題のようだ・・・そう、Qアノンの方々である!
彼らの主張はこうだ。一連のコロナ騒動は闇の組織ディープ・ステートによってでっち上げられた嘘であり、真の狙いは殺人ワクチンの接種によって人口を減らすことにある。光の戦士である我々は、この陰謀を何としても阻止しなければならない!・・・はぁ、そうですか。
数あるQアノン派閥の中でも、「神真都Q」(読み:やまときゅう)という団体は、各地でのデモに留まらず接種会場での抗議やメンバーの逮捕によって知名度NO.1に躍り出た行動派集団である。中には警察官の殺害をほのめかすような過激派もいるのだから穏やかではない。
というわけで第二回目のテーマだが、神真都Qの人と一緒に見たい映画を紹介する!
その作品は第四十九回アカデミー賞を受賞し、70年代を代表するポリティカル・スリラーの名作『大統領の陰謀』(76)だ。タイトルに「陰謀」って入っているから選んだという安直な理由ではない。実はこの作品、ほかの陰謀映画とは違い神真都の人がワクワクして夢中になっちゃうような不思議な魔法がかけられているのだ!(バカにしてんのか?と言われそうだが)
時は1972年アメリカ。アメリカ民主党本部であるウォーターゲート・ビルに不法侵入した謎の男たちの裁判が行われている。コソ泥の犯行かと思いきや、侵入犯はみなCIA関係者。犯人の一人が所持していた名簿には「ハワード・ハント WH」と謎の書き込みが見つかった。ワシントン・ポストの記者であるボブ・ウッドワードとハワード・ローゼンフェルドはこの裁判に巨大な陰謀の影を感じ、調査を始めるのであった。
2人を演じるのは、70年代を代表する二枚目であり映画監督としても有名なロバート・レットフォードとハリウッドを代表する演技派アル・パチーノ。最高の俳優が自分たちと同じ「世界の真実に気づいちゃった人」を演じてくれるのだから、神真都の人が見たらもう大興奮するに違いない! (ということにしといてください)ちなみにQアノンの人がよく情報ソースに挙げているのはワシントン・タイムズという統一教会系の出版社である。絶対に間違えないように。
調査を続けていたウッドワードは、ある日差出人不明の手紙を受け取る。「電話はよせ・合図はバルコニーの鉢に赤旗・尾行を警戒せよ」手紙の主は政府の内通者と思しき謎の男、通称ディープ・スロート。深夜の地下駐車場で待っていた彼は、ウッドワードに「今は金の流れを追え」とミステリアスな言葉を残すのであった。お気づきだろうか。ディープ・スロート・・・ディープ・ステート・・・なんと一文字違い!これには神真都の人も奇妙な符号の一致を感じずにはいられないだろう!(だから何だと言ってはいけない)
このディープ・スロートとの不気味な邂逅は本作の見どころの一つで、暗闇の中でライターの火が灯り青い影の中から男のシルエットが現れる・・・という大変美しくミステリアスな場面になっているので必見。2005年、事件当時FBI副長官であったマーク・フェルトがディープ・スロートの正体は自分であると名乗り出て話題となったが、『大統領の陰謀』公開当時は全く謎の存在であったのだ。(ディープ・スロートの正体は実は女子高校だった⁉という『キルスティン・ダンストの大統領に気をつけろ!』(99)という愉快な作品も有る。)
ところでディープ・スロートという珍妙な通称についてだが、当時大大大ヒットしていた、喉にクリトリスがある女性が主人公のポルノ映画『ディープ・スロート』(72)からの命名である。日本で例えるならさしずめ『洗濯屋ケンちゃん』(82)だろうか。
えー・・・詳しいことのいきさつはウィキペディアの「ウォーターゲート事件」の項目を読んで頂くとして、まあそんなこんなで記者2人の奮闘により陰謀は暴かれ責任を取ってニクソン大統領は辞任するというのが『大統領の陰謀』の大まかなあらすじである。
主人公たちが超巨大組織(大統領・アメリカ政府・共和党)に立ち向かい、最後には勝利を収める・・・しかも実話!今まさに警察や公安との戦いの真最中である神真都Qの人たちに、やればできる!と激を飛ばしてくれる熱い作品である。 陰謀万歳!陰謀の勝利!(ということにしといてください)
ここで真面目な話をするが『大統領の陰謀』の記者たちと、神真都Qの決定的な違いは何だろうか。(知能の差だろとかイジワルなことを言ってはいけない。)
インターネットがない70 年代の話だからというのもあるが、『大統領』の主人公二人はとにかく足を使って調べまくる。時にはディープ・スロートの様な飛び道具も使うが、聞き込み・電話攻勢・図書館での情報集めなど、膨大で緻密な取材あってこそ真実に迫ることができたのだ。対して陰謀論界隈は・・・何も言うまい。
最近界隈で流行ったネタの一つに「創価学会系在日企業のヤマダ電機が日本中の倉庫に銃を保管している」というのがあった。もしそれが本当だと思うなら、倉庫に出入りしている業者を虱潰しに調べるなどして、自分たちで確たる証拠を掴めば良いのだ。知らず知らずのうちに武器密輸の片棒を担いでしまい、罪悪感で夜も眠れず涙で毎晩布団をビショビショにしているヤマダ電機の社員がいる・・・はずなのである!
虐げられている無辜の民のために、立ち上がれ神真都Qよ。今、私・・・ではなく和多志は、机の上に置いたテスラ缶(針金を巻いたボールペン)に「絶対に見なさい」と氣を送りましたので、今年の夏は『大統領の陰謀』が神真都Q界隈で大流行するに違いない。これは予言だ!思考は現実化する!