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博多ゾンビ紀行

【博多ゾンビ紀行】第9回 脈略より、死『ゾンビ9(ZOMBIES  FROM SECTOR9)』 

どうもこんにちは、ハカタです。

今回は第9回ということで、9に縁のあるゾンビ映画を紹介するぜ!

いきなりだが、皆さんはゴアフェスというのをご存知だろうか?
ゴアフェス、とは東京池袋の新文芸坐という映画館で、普通だったら上映されないような世界中のインディーズのホラー映画・・・それもめちゃくちゃにグロテスクな(GOREな)ホラー映画を上映しようという大変に縁起のよろしい催しである。


さて今回紹介する『ゾンビ9』こと『ゾンビーズ・フロム・セクター9』はそのゴアフェスで上映されたものの一つだ。
と来れば一体どんな映画なのか気にならざるを得ない!というわけで、割と激しめな争奪戦を乗り越えBDを入手したのでレビューするぜ。

この映画がどういう映画なのかと言うと、原発にイカ型エイリアンが出現しメルトダウン、すると何故かゾンビが大量発生、町はパニックと化し武将集団ひしめく世紀末へ。妻子と別居中のブックウォーカーは家族のため世界のためボンクラオタクから戦士へと成長していく・・・!という話だ

もうこのあらすじの時点で頭が痛くなってきそうだが、ヤバいのはここからだ
さて、冒頭で説明した通りこの映画はインディーズで自由なホラーだ、そして何より優先すべきコンセプトとして「自分の好きを詰め込む、特にグロ描写を!」があり、そこに(色んな意味で)心血が注がれているような映画である、ということをまず説明する必要がある。

なのでグロ描写、ゴアアクションの面に関して言えばこれはサービス精神たっぷりで言うことなしな出来だ。内蔵血液手チョンパ首チョンパ全身真っ二つ・・・と手作り感はあるがバリエーション豊かでテンションが上がらざるを得ない!特にドロドロになる人間の描写など気持ち悪くて最高である。
だが独特なのはストーリーの面で・・・

映画を観ていくと何やら(死霊のえじき的な)ゾンビの研究をしている組織に属す兵士っぽい奴らが出て会話を繰り広げる・・・ここで僕はなるほどこいつらが主人公と関わってくるんだろうな、と思った次の瞬間にそいつらは死ぬ!それもとびきり残酷に死ぬ!
次に何やら気弱そうな男が出てくる・・・ここで僕はなるほどこいつが主人公と関わって成長を、と思う間も無く死ぬ!それもとびきり残酷に死ぬ!

このように新キャラが出ては死ぬ、また1人新キャラが出ては死ぬ、また1人新キャラが出てこいつすぐ死にそうだなと思ったら案の定死ぬ!
それを延々と繰り返すのがこの『ゾンビ9』だ!

普通なら1人1人キャラを出していきある程度ドラマを積み立ててから中盤から後半にかけて一気に殺していくものだがこの映画は違う。
なので全くと言って良いほどドラマの積み立ても何も起きず、重要そうに見えたドラマや設定は全てゾンビの前で霧散する。よって次第に観ててマッタリした気分になってくる、画面も起きていることも強烈なのに!

なぜこんな映画になっているかと言えば答えはおそらく「好きなものを詰め込む」に全力投球した場面優先な作りだからだと思う。おそらく思いついたかっこいいシーンやとびきり残酷なシーンを入れることをストーリーや脈略より最優先しているのだ。

例えば冒頭で説明した宇宙人は序盤以降一切出てこない。それが何故なのか推測するならばやはりそれ以降の監督の思いついた「最高なシーン」に宇宙人は必要ないから、なのではないか。
これが普通の映画なら、なんなら以前紹介した『クリーチャーズ 宇宙から来た食人族』のような超B級映画でも後半に(まるで前半に無茶苦茶やった責任を取るかのように)少しは前半に出しちゃった要素を活かすシーンを入れる。しかしこの映画にそれは無い・・・この自由さ!

この『ゾンビ9』に置いて、人間ドラマより、難しそうな設定より、脈略より大事なもの・・・それは「死」!!!!
あのキャラもあのキャラも、主人公の成長や熱い感動ドラマのために死ぬわけではない、死ぬために死ぬのだ!!!!!

そんな繋がりの希薄な断片を観ていくうちに段々マッタリしていくと共に、なにか難解なアート映画を観ているような気分にもなってくる・・・
このような視聴感はまさにZ級映画そのものという感じで、こういうのが好きな人にはたまらないだろう。

そしてこの映画にちょくちょく挟まれるグラインドハウス映画的メタ演出を見ると、この視聴感もある程度は意図的なのではないか・・・とも思えてくる。

確かにドラマの盛り上がりは薄いし、主人公の成長に説得力が無いし、かっこいいセリフは浮いているし、節操ないポップアイコンの挿入やオマージュ演出は全く活かせて無いし、(何度も言ったが)マッタリはしている、だが力の入ったゴア描写や衝撃のオチも含めて見応えはある映画だったと思いたい。観るために4000円くらい払ったし・・・

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