【たまに面白い映倫】第12報 『ボーンズ アンド オール』ほか
〈このコーナーはたまに面白い映倫の年齢区分指定理由や文章表現などを紹介するコーナーです〉
今回は初めてシリーズの回。映倫審査リストで初めて見た表現と単語を紹介しようと思う。一本目はR15、二本目はR18です。
ブラック・サイト 危険区域
軍の極秘軍事施設ブラック・サイトに勤務する将校たちは、ハチェットという悪名高い収容者と命がけで戦う。アクション。刺激の強い医療用メスによる殺傷・出血の描写がみられ、標記区分に指定します。(1時間31分)
https://www.eirin.jp/
刺激の強い刀剣による殺傷とか銃器による殺傷とかは指定理由の表現として頻繁に目にするが医療用メスを見たのは初めて。っていうかそれは刀剣でよくないか。厳密には刀剣じゃないだろうがそんなこと言ったら狼男の映画で人間を貪り食うシーンがあったら刺激の強い牙による殺傷があるためとか書くのかよみたいな。書くのかな?なんか書きそうな気もしてる。しかしいくら刺激が強いとはいえ医療用メスでの殺傷でR15とは。サイズ的にも形状的にも医療用メスでできる殺傷行為の程度なんかたかが知れていると思うのだが。
ボーンズ アンド オール
社会の片隅で生き抜こうとする少女・マレンと、権利を奪われた放浪者の青年・リーの“初恋”を描く。ラブストーリー。極めて刺激の強い人肉愛嗜の描写がみられ、標記区分に指定します。(2時間11分)
https://www.eirin.jp/
初めて見たシリーズ、愛嗜という言葉。なんて読むのかもわからなかった(あいし?)ので辞書サイトで検索をかけたが該当語がヒットしなかった。まさかの映倫造語。この映画は見に行ったが実はこの字面からイメージされるような直接的で凄惨な人肉食の描写は出てこない。しかし人肉食とそのための殺人を肯定的とも取れる美しい映像で捉えているのでアンモラル感は非常に強く、個人的にこの映画を年端もいかぬ子供に見せたいとはあまり思わない。思うに担当者もかなり困ったんじゃないだろうか。この内容ならR18はつけたい、しかし直接的な人食い描写は多少はあっても全体的には非常に少ないため殺傷・出血理由ではR18はつけられない・・・その結果が愛嗜という造語での指定理由はぐらかしなんじゃないだろうか。そう思えば、なかなか味わい深いテキストである。