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博多ゾンビ紀行

【博多ゾンビ紀行】2022年ゾンビ映画総決算!神作もクソも全部レビュー!【前編】

どうも皆さんこんにちは。ハカタです。
さて2022年も終わってしまいはや数ヶ月といったところですね。そこで今回は特別企画。
実は私はここ数年、1年のうちで公開&配信されたゾンビ映画は全て観るという責務を自らに課しております。(なぜ?)(さあ・・・?)
それはもちろん2022年も同様!公開&配信されたゾンビ映画を認識でき、鑑賞可能だったものはほぼ全て観ました。そこで!せっかく観たからにはなんらかの形でまとめたいな〜と思いこの記事を書き始めたところであります。と言うわけで2022年のゾンビ映画を全て、監督、主演、ゾンビ発生原因、走りor歩き、そして個人的星5段階評価と共にまとめていこうと思います。

バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ
★★★ 

監督 ヨハネス・ロバーツ
主演 カヤ・スコデラーリオ ロビー・アメル
ゾンビ発生原因 薬品 
ゾンビの種類 走る

劇場公開作品。一発目は同名タイトルの有名ゲームを原作としたゾンビ映画だ。前映画シリーズではオリジナル要素が多かったことから今回は忠実再現を(一応)コンセプトに再映画化。監督は“ちゃんとしたサメ映画界“で大きい存在感を放つ『海底47m』のヨハネス・ロバーツだ。

ゲーム原作だが、ゲームに疎い僕は未プレイであり申し訳ないが僕には原作との比較はできない。そんな無責任すぎる状態であることを加味してこの感想を読んでほしいのだが、正直かなり面白かった。

まず導入がわりかし丁寧だった(消える死体、暴走する犬、異常な住人…などの事象を積み重ねる)のがゾンビ映画として好印象、というかここさえうまくやってくれりゃ普通に合格点あげられるんだよ、ゾンビ映画は。これができないやつが多すぎる!
それはそうとレオンとかいう奴があんまりにも無能すぎて原作未プレイながらこれ大丈夫か?重要キャラなんじゃないの?とはなったが、まあこれは未プレイであるが故に気にならない特権ということで。あとフラッシュ焚いたみたいな感じで銃に撃たれるゾンビが映る感じのアクションシーンが面白かったりした。

印象的なのは登場人物がちっこいモニターでゲーム画面の右下くらいに出てそうな(あるいはスタートボタン押したら出てきそうな)マップを見ながら館を“攻略”しているシーン。ゲーム再現ってこういうことなのか!?どこからともなくロケラン持ってきたシーンがあそこだけグラインドハウス系のノリで最高だが、これもドロップアイテムというゲーム文化の再現か!?

あと、気になるのがバーニングゾンビがノリノリの音楽と共にパリコレモデルかってくらい綺麗な歩き方で警察署に入ってくるシーン、ここが面白すぎて映画館じゃなかったら絶叫していたレベルだったんだけど、これ原作にもあるシーンなんですか?あと終盤の牛など、原作のセンスなのか監督のセンスなのかマジで分からない部分が多いのが魅力だったな。

さて、一発目ということで割と有名めな作品を紹介したが、ここからはおそらくほとんどの人にとって未体験なゾーンだと思われる。覚悟してほしい。

プレジデント・デイ ゾンビで復活した米国大統領たち
★★     

監督 デヴィッド・ズッカーマン
主演 モニカ・リケッツ デヴィッド・ズッカーマン
ゾンビ発生原因 呪い(?) 
ゾンビの種類 走る(?)

配信スルー作品。歴代米国大統領が(なぜか)ゾンビになって復活し、プレジデントデイの休日を楽しむために森の中の小屋(低予算ホラー超定番シチュ)にいる大学生集団に襲いかかる!という出オチ映画。


演技もギャグも映像も話も三流でまさしく平均的クソ映画だが、助っ人キャラとしてリンカーン暗殺犯を召喚したり、政治観の違いを利用して仲違いさせたりするのがちょっと面白いので赤点は逃れる。

無知な僕は米国の歴史なんて全く詳しくないので大統領ギャグや皮肉などの小ネタを把握しきれてない可能性があるし、これから観る人も色々分からないかもしれない…と不安かもしれないが、そんな小ネタが分かったところでどうこうなるレベルの脚本の映画では無いので全く問題はない。
というのも大統領設定に単なるギャグやキャラ付け以上の意味が無く、別に根幹にテーマや批評性があるわけでも無いので知らなくても全然問題がなくて、そこは素直に残念。
キャラの身体が上下にちぎれた瞬間めちゃくちゃマネキンっぽくなるのはまだギリギリ許せるけど(クソ経験豊富故の寛容さ)、そういうとこはちゃんとしておいて欲しかった。まあ三流映画なんてそんなもん!?

見どころは全体的にグダグダなのに、ジョンFケネディのゾンビに追い詰められた主人公が覚醒し立ち向かうシーンのアクションだけ何故かやたらキレッキレなところ。アクションだけ微妙に良いと言うのもZ級あるあるだ。

あとは個々のキャラがまあまあ面白いのと三方向に別れた登場人物のドラマが結構予想外の展開になってるのがいいのだが、最終的な処理が割と雑な事と唐突に挟まれるメタギャグがあまりにも滑りすぎているのが残念。

クリーチャーズ/宇宙から来た食人族
★★★

監督 トニー・ジョピア
主演 ロマン・バルベイ 斉藤リナ
ゾンビ発生原因 宇宙寄生虫 
ゾンビの種類 走る

なんとこの映画、103分もある

B級映画好きならこの時点で嫌な予感がすると思うが、案の定全体的にマッタリしている映画だ。一応劇場公開作品。現在ヤバい映画を輸入しまくってその名を轟かせているエクストリームが配給だ。

あらすじは研究のため天文台に向かっていた大学生の元に、可愛いモンスター「マンピー」が墜落してくるが、そこにそのマンピーを狙う人喰いモンスター(人間をゾンビにする能力持ち)が襲いかかってきて・・・という感じ

単調すぎるストーリー、意味のなさすぎる会話・・・と悪いとこを挙げればキリがない。しかしモンスター造形の面白さや、ゾンビがカタナで斬られたりするアクションに死体の多さ、それに加え今まで見たことのない面白死もあったので、良しとする。面白い死に様が一本でもあれば許す、この寛容な心がゾンビ映画鑑賞には大事だ。

とある男が明らかな一人芝居でモンスターに食われる演技をしてそれを他の大勢のキャラたちがワー!キャー!たいへーん!と騒ぎまくりながら眺めるシーンがあるんだけど、なんというかこの映画の撮影めちゃくちゃ楽しかったんだろうなとってのは伝わる映画だった。(こちらはそんな楽しくないが・・・)

バウンティ・オブ・ザ・デッド
★★    

監督 ジョーダン・パチェコ
主演 トニー・モラン ティモシー・パトリック・クイル
ゾンビ発生原因 不明   
ゾンビの種類 歩く

配信スルー作品。逃亡犯を追いかけて森(また森か!)にきた賞金稼ぎどもと大学生たち(また大学生か!)にゾンビが襲い掛かる!

導入は不合格とは言わずともあんまうまくないし、特色かと思えた賞金稼ぎ要素もゾンビを前に早々に霧散するし、キャラ無駄に多すぎだし、結果退屈だし、男がマジでクソ野郎だし、女もまあまあクソなのだが、しかしこれゴア描写がなかなか頑張っている。
血は出るし、しっかり内臓も食う、さらには片乳首だけ食われた女ゾンビとかいうなかなか見ない絵面まで出てくる。
あと中盤ちょっとだけ面白いアイデアがあるのだが、これは隠すほどのもんではないが本当にちょっとだけなので今作の数少ない面白さ珍しさを潰さないためにも言わないでおく。

ウィ・オール・フォール・ダウン
★★     

監督 カート・ナイト
主演 カーディフ・ゲルハルト コナー・ジェームズ・ムーア
ゾンビ発生原因 薬品(?)
ゾンビの種類 走る

配信スルー作品。ゾンビによって滅んだ世界・・・そんな世界をを旅する兄弟を描く映画。とここまでは良さげ。
さらに、瞳、廃墟、子どものイラスト、そして歩く死者…と世界と人間を表現する物を実直に描く導入部分に期待が高まる。が、しかしその後よく分からん設定がポンポン出てきて迷走!なーんでそんな方向に行っちゃうかなー

序盤は割とゾンビ映画として十分すぎるくらい合格あげられるんだけど、「噛まれて感染するとかじゃ無く大人になると強制的にゾンビになる」という設定が明かされて(?)となる。なんでそんな設定なの?それで何を語りたいの?正直よく分からない。普通で良いのに。
そんで次に謎の宗教団体が出てきてそいつらとのゴタゴタ争いが主軸となっていく。ここでもう完全にゾンビは端に追いやられストーリーへの影響力も無くなる。(なにせ子どもなら感染しないのでさして脅威でもない。その宗教ネタって本当にこの世界じゃないと、つまりゾンビじゃないと語れないことなの?

別に人間ドラマを描いてもいいが、あくまでその根本にゾンビの影響が垣間見えるくらいの話にしてくれないと完全に興味を失ってしまうのだ。

全員10代の子ども設定なので教祖のカリスマ性にも説得力無いし、設定のせいでなんも解決してない感すごい。でも、ラストシーンは良いんだよな。だから嫌いにはなれない…惜しいよ。

リーサル・ウイルス
★         

監督 ダニエル・H・トラード
主演 クリスティアン・スタム
ゾンビ発生原因 ウイルス 
ゾンビの種類 走る

DVDスルー作品。もうほとんど内容を思い出せない、なぜならそれは怒りのデスロードかってくらいに全編アクションからアクションを繋ぐ割りかし景気の良い作りをしているからだ。そこだけは褒められる。しかし、面白くない…

デッド・オア・アライブ
★         

監督 マヌエル・アーバネック
主演 ヤン・ボーレンシュミットボーレンシュミット
ゾンビ発生原因 ウイルス 
ゾンビの種類 走る

DVDスルー作品。ゾンビ終末世界を旅する二人の男を描いたドラマ。ハードな空気感と友情にスウィングオブザデッド系列な良作の雰囲気を感じるも、中々話が連鎖しない。そして気づく、これはただのオシャレ風なだけという事実に。メイクもゴアもそれなりに頑張っている分惜しさが悲しい。
例えば冒頭、女の人を車が追いかけるシーンが始まるがなんだか楽しげな音楽がかかっているので(ん?遊んでいるのかな?)と思うがよく見ていくと普通にただ襲い掛かっていたことに気づく。つまり対位法をやろうとしてただ変なシーンになっているのだ。全編こういったズレがある
要はこの映画、シーンの一つ一つにお洒落な雰囲気があって良い感じだがその実意図というものが薄いためペラペラなのだ。中盤のグッタリとした男の顔を映しながらフレーム外でもう一人がゾンビを倒す長回しとか監督は意図を聞かれて答えられるのだろうか?絶望感?虚無感?色々考えたがどれも変だ

2人の旅する動機は「なんか拾った手帳が示した場所に行く」という薄いものだが、それはそれで不安が表れてて良い設定だと思う。だが動機が薄い分ドラマの密度を高めなければならないがこれが薄い!関係性の変化が弱い…これによりマジでただのどうでもいい話になってしまっている!

主人公とは別に悪漢集団がいるのだがこれも主人公らのドラマに何の影響も与えないので虚無。良い映画ならここであげた欠点はカバーできているものだ。良作と駄作の差を分けるのは雰囲気ではなく中身であると再確認する映画だ

バトルロワイヤル・オブ・ザ・デッド
★★★

監督 マックス・マーティーニ
主演 クリス・マルゲティス マイク・キャリー
ゾンビ発生原因 薬品  
ゾンビの種類 走る

DVDスルー作品。プロレス×ゾンビなコメディ映画だが、これが単にプロレス技を使うって以上に『サントvsゾンビ』の流れを汲むような映画となっており割と良い方のゾンビだった(謎映画を謎映画で例えるな)しかしゾンビパニックが発生するまで1時間ってのは長すぎるぜ!

この映画「マンソン兄弟というプロレスラーの“実話”漫画」という設定なのだが、この入れ子構造が肝で、僕はあまり詳しくないがプロレスラーにありがちななんか盛られた列伝なんだなと分かりその点で言えばまさしく『サントvsゾンビ』の流れにある作品だと言えるだろう…というのが面白い

しかしゾンビ出るまでが長い。1時間くらいほぼ出ねえ。そこまで何やるかって言ったらプロレスラー列伝をダラダラとやる、だがこれが落ちぶれたレスラーの再起の物語としてキャラも良くギャグも結構面白くゴアもあり、アクションもまあまあ良くて結構面白いので観れる。にしたってもう少しリングに…
要はまあ一本通った軸があるってのが観やすくて良いんだよな。そんで遅いとは言えジャンルのセオリーはこなすし、アクションも少ないがプロレスという個性と見応えがある。入れ子構造も再起を描くならプロレスラーなら「観客」…つまり見る者ありきであると考えれば無駄ではない、というか必要だろう。

地味に貴重なハロウィンゾンビの一本ではある、いやただたまたま10/31だったってだけで全然ハロウィン要素無いんだけど。これでも微妙作品揃いのハロウィンゾンビの中では最高傑作かもしれない。

王朝の死鬼
★★

監督 チャン・ボーウェイ
主演 ドゥ・イーハン チャン・イーロン
ゾンビ発生原因 薬品  
ゾンビの種類 走る

DVDスルー作品。ゾンビ映画あるある。なんか少し前に見たことある感じの邦題だが、その映画とは何の関係もない。
というわけでこのタイトル見てなんか少し前になかったっけ?となった人も多いかもしれないが、確かにそういう映画はあったし、それとは全然違う別の映画です。中国を舞台とした時代劇ゾンビ映画だ。

あらすじを説明すると「時はなんか昔、場所は中国の都市、隕石が落下しそこから有毒なガスが発生、ほとんどの都市の人間はゾンビ化、さらにはクソでかいクラゲみたいな怪物まで発生する・・・」
と、ここまでのことが5分で発生する、異常テンポ。なんせ73分しかないから急がねばならない。無駄に100分超えてる映画と足して2で割ってくんね〜かな〜

さて何気になかなか見ない気がする中華ゾンビだが、その中身はかなり独特だ。ゾンビだけでなくデカい虫モンスターもチラホラ出て来るハードモード、しかしそのモンスターが場面によって出たり引っ込んだりで正直よく分からない。常に出てたら全滅するから話の都合なんだろうけど。

今作には、傀儡姫という名の操り人形を駆使するヒロインが出てくるのだが、この操り人形がどう見ても糸で操ってるとかじゃなくて自分の意思で動いてるようにしか見えないレベルでアグレッシブに動く。(というかどうみても仮面被っただけの人間)まるでハンターハンターの念能力みたいな感じなのだがあくまで念能力など無い比較的現実に近い世界観のはずなのによく分からない。このようにフィクションラインの曖昧さが分からなさを加速する。独特で面白いと言われれば面白いかもしれないが・・・

昭和ジャンプ漫画レベルでその場のノリで話が動く。なんというか連載漫画的な作りなんだよねこれ。とにかく導入はちゃんとした積み重ねをやるより、耳目を引っ張るものを異常な速さで出して、さらに常に話を転がしてピンチを引き出さねばならない。そうしないと苛烈な紙面で生き残れないから。そういう理屈で作られたみたいな節操ない話だ。そんで感動シーンはクドいという。ただこれは漫画でなくて映画なので、やはり映画に合わせた緩急が欲しいと思う。

まあアクションはところどころカッコいいし、曲芸家ゾンビなども見たことない感じで面白いので、許す!

まとめ

・・・いかがでしたか?

長くなりすぎないためにもここで一旦前半戦は終わらせていただきたい。今のところ星4以上の評価がないという低空飛行っぷりだが、それはそれとして後半戦ではブルースキャンベル出演の労働者パニックゾンビ映画や観るためにわざわざ4000円も払った世紀末ゾンビ映画や個人的今世紀最クソゾンビ映画などさまざまな愉快なゾンビ映画を紹介するぞ!お楽しみに!

【博多ゾンビ紀行】2022年ゾンビ映画大決算!神映画からクソ映画まで全部レビュー!【後編】

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