【たまに面白い映倫】第20報 『ジャッカス3D』と『スカイライン-征服-』
〈このコーナーはたまに面白い映倫の年齢区分指定理由や文章表現などを紹介するコーナーです〉
今回はプレイバック編ということで2011年上半期に審査が完了したもはや懐かしに属するあの映画この映画をピックアップ。
ジャッカス3D
ノックスヴィルと仲間たちは、街中でドッキリ番組のようなイタズラを仕掛け、また次々と体を張って、過激でナンセンスなパフォーマンスに挑戦する。ドキュメンタリー、アクション・コメディ。刺激の強い汚物の悪戯、嘔吐、下品な言動、模倣すると危険なスタントが数々みられ、標記区分に指定します。(1時間34分)
https://www.eirin.jp/
こちらは当然のようにR15だがR15でよく済んだなという気もしてくる。他はともかく危険なスタントは『ジャッカス』シリーズの場合立派にR18の理由になりそうだが、この時代はまだそのあたり寛容だったのだろうか。今だったら頭とセンスが悪いライバーが再生数稼ぎのために平気で真似して死んだりするのでそもそも公開自体できるかどうか怪しいところ。それにしても、よくテキストを読んでみれば「危険なスタント」以外は「汚物の悪戯、嘔吐、下品な言動」とそれ単体ではせいぜいPG12止まりの要素しかない。とくに嘔吐は別にいいだろ嘔吐は。よほど担当者が下らなすぎる内容に呆れたのだろうか。なにか、厳正に各要素を審査した結果のテキストというよりは、投げやり気味に書き殴った感のある、味わい深い映倫テキストだ。
スカイライン-征服-
ロサンゼルス上空に巨大な飛行物体が現れ謎のビームを発射、人々はその光に引き寄せられ、吸い上げられていく。彼らは人間の脳を狩るエイリアンだった。SFパニック・スリラー。エイリアンが人間(脳髄)を捕食する描写がみられるが、親又は保護者の助言・指導があれば、12歳未満の年少者も観覧できます。(1時間34分)
https://www.eirin.jp/
「人間(脳髄)」の文字にフフってなるこちらはPG12。エイリアンものの映画においてエイリアンが人間を捕食する描写は一般的なため、直接的なゴアなどがなければそうR指定やPG指定は食らわないような気がするのだが、脳髄を吸ってしまったのがもしかしたらよくなかったのかもしれない。しかしこの手の映倫テキストを見ると毎回思うことだが親または保護者は12歳未満の年少者にいったいどんな助言や指導をすべきなのだろうか。相手は脳髄を吸う宇宙人ですよ。脳髄を吸うのはよくないとか・・・そういう問題じゃないしな。よくないもなにもだいたい宇宙人がやってることだし。こんな宇宙人は存在しないから怖がらなくていいよとかがあえて言うなら妥当な助言だろうか。いないかどうかわからないが。
それにしてもなんでわざわざ「人間(脳髄)」って書いたんだろうね。「エイリアンが人間を捕食する描写がみられる」で普通に通用すると思うのだが。そこは武士の情けで「いや、この映画は確かにエイリアンが人間を捕食する描写がありますが、捕食するのはあくまでも脳髄だけで血とかは出ませんし・・・」みたいな配慮を効かせてくれたのだろうか。ただ脳髄は吸いますけどねという。それは配慮なのか?映画もなんだかよくわからないところがあったが、映倫テキストの方もなんだかよくわからない。