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こないだビデマでこれ買った

【こないだビデマでこれ買った】Vol.26 『1001 CLASSIC COMMERCIALS』を買った

かつては本国アメリカで商業公開もされたものの現在では少なくとも商業上映は不可能なある種の封印作品のひとつにジョー・ダンテ監督の初作品『ムービー・オージー』がある。なぜ商業上映が不可能か、といえば、約4時間半(※7時間バージョンなどもあり)にも渡る長大なこの作品、その全編が主に1950年代の映画やテレビ番組、コマーシャルなどを完全無許諾でツギハギした、いわば元祖MAD的な作品だからなのであった。元々はダンテの通っていた大学内で流す個人の遊びとして制作されたものというからまぁそれなら納得できるが、これをビール会社が買い取って商業公開したというのが謎。無許諾だからミッキー〇マウスも出演しているのだが恐い人から怒られなかったのだろうか。1968年のこととはいえ・・・。

その幻の『ムービー・オージー』が先日国立映画アーカイブで特別上映されたので行ってきたのだが、話には色々聞いていたものの実際に見て意外だったのは無断使用された数々のSF映画史上の有名作と肩を並べるくらい、コマーシャルが面白かったということだった。これはダンテの編集マジックによるところも大きいのだが、妙に表現が大袈裟だったり宣伝文句が今となれば(当時でもそうだろう)バカバカしかったりして実に笑える。中でも最高なのは見た人の多くが言及しているバファリンのコマーシャルで、なんかシリアスめなドラマが始まったなと思って見ていると唐突に「すぐにナーバスになってしまうセンシティブなあなたにはバファリンです!」の決め台詞が入ってきて悩める人物の頭痛の種がバファリン飲んで解決(してない)というびっくり展開、これが絶妙なタイミングでインサートされるものだから腹抱えて笑った。

ということで古いコマーシャルも案外おもしろいもの。放送当時はなんでもない普通のコマーシャルでも、十年二十年と経ってから見てみるとなんだか感覚がズレていて懐かしいやら笑えるやらで興味深く感じられたりするものです。コマーシャルというのはその時代の人々の購買意欲を刺激するために作られるものなので、必然的にその時代の一般的な感覚や関心に合わせて作られることになり、そのため時が過ぎればすぐに古びてしまう。逆に、そのようにして時代の変化に耐えられないことで、コマーシャルというのは年月が経てば経つほど風味が増し、またその時代の世相を表す史料ともなる、骨董品的な価値を持つ映像作品とも言えましょう。

前置きが長くなってしまったがそんなこんなで今回ビデマで買ってきたのは1001 CLASSIC COMMERCIALSというソフト。タイトルそのままですね。そう、このソフトは1001ものアメリカのクラシック・コマーシャルを収録したソフト、その収録時間はDVD3枚組で16時間超! 正気か。言うまでもなくそんなもん全部見てられないのでとりあえず何日か環境ビデオ的に流してみたが、延々1950年代ぐらいのアメリカ人が商品を売る口上を聞いていたら頭がおかしくなってきた。こんなもん・・・これをどうしろと言うのか? まぁ、パッケージには16時間収録とちゃんと大きく書いてあるから、そうとわかって買ってきた自分でどうにかしろなのだが。

そのパッケージは普通のDVDトールケースやジュエルケースではなくスチール製のクッキー缶のようになっていて、プレゼントでもらったりしたらちょっと嬉しいかもしれない作り。ジャケットのイラストもかわいい。収録順はオモチャとかタバコとか医薬品とかジャンル毎になっていて、これは親切といえば親切なのだが、オモチャのコマーシャルだけで2時間とか見る羽目になるので頭がおかしくなる要因ともなっている。ランダム再生とかオール再生とかがメニュー画面から選べれば便利なのだが・・・そのへんは再生ソフトとかデッキの側でなんとかすればいいか。

1001本、16時間ものコマーシャル集ともなればもはや内容に関して語れることはほとんどないが、8歳ぐらいの男の子コンビがライフルのオモチャで遊ぶコマーシャルなんかはわりあい印象に残った。このライフルのオモチャ、本物そっくりなので男の子コンビが遊んでいると警官が飛んできて「なんてこった!見た目も音もまるで本物じゃないか!」と驚く。日本でオモチャの銃といえばやはり弾が出る点が訴求ポイントになるんじゃないかと思うが、アメリカの場合はリアルかどうかが大事なのかぁ。そういえば以前、初代映画秘宝編集長の田野辺尚人さんが、『悪魔のサバイバル』というサバイバルゲームのチームが森の狩人一家に殺される映画を見た時にアメリカのサバゲーってこんなにぬるいのかと思った、と言っていた。たしかに劇中のサバゲーはあまりゲームとして本格的なものではなく、どちらかといえばコスプレ色の強いものだったから、だからなんだという話なのだが、アメリカのオモチャとか遊びというのは昔から機能とか遊戯性よりも見栄え重視なのだなぁと、なんとなく学びがあったような気がする(でも一方でスパイ七つ道具セットみたいな超楽しそうな機能性重視オモチャのコマーシャルもあったりしたが)

ってなわけでとにかく1001本、16時間。おそらく収録されているコマーシャルの多くはYouTubeなんかでも見られるんじゃないかとは思いますが、こんなにまとまった形では動画の有無というよりもこちらのモチベーション的に見られないと思うので、クッキー缶みたいなのに入れてソフト化というのはありがたいことです。まぁでも何を見ているのか途中でわからなくなりながら見てて思ったね。こんなクズ山みたいなコマーシャルの中から使える素材を的確に抜き出してきて1本の映像作品に仕上げたジョー・ダンテの才能はすごい。才能か、あるいは忍耐力がすごい。

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ゆるふわ映画感想ブログ映画にわか管理人。好きな恐竜はジュラシックパークでデブを殺した毒のやつ。Twitter→@eiganiwaka