【やってみようシリーズ】映画を配給しよう② 『上映作品を決めよう』
ということで前回はコンセプトを決めたので今回は上映作品の選定。B級映画は間口の広さが魅力の一つだと思っているので老若男女国籍も人種も問わず楽しめそうな作品を上映したい。
最初に決まったのは『Hallucinations』という映画で、たぶんみなさんご存じないと思うんですが、それもそのはずこの映画、監督が18歳の時に双子のお兄さんと一緒にホームビデオで撮った宅録自主映画。そんなもん知るはずない。しかしその監督の方はきっとみなさんも聞き覚えがあると思います。そう、その監督とは……マーク・ポロニア!!!
……誰?な人も多いような気がしてきましたが、この人はZ級サメ映画の代表的な監督として日本ではコアなファンを持つ人です。『Hallucinations』はポロニア監督の第2作目。はっきり言って安い。それはもうめちゃくちゃ安い。しかし安いながらも手作り特撮の数々はなかなか面白く、あの手この手で見る人を楽しませようとする気概、というか、自分たちが映画作りをめいっぱい楽しみたいという思いがあまりにもチープな画面からは伝わってきます。ポロニア監督の原点といえるこの作品、最近のZ級ポロニア映画しか知らない人にはちょっと驚きかもしれませんし、いろんな怪物とか怪奇現象が出てきてたのしいので、これは上映したい。
次に決まったのは『セラーデュエラー』という映画。こちらは80年代アメリカB級ホラーの総本山エンパイア・ピクチャーズの作品で、コミック作家の卵がクセモノ芸術家志望者たちの住むシェアハウスにやってきたら、あこがれのホラーコミック作家が残した魔のコミックを発見、その魔の力に取り憑かれてしまった主人公がホラーコミックを描き始めると、そこに描かれた出来事が次々と現実となって……というもの。エンパイア映画の中でも地味な部類かと思いますが、コミック題材ということでユーモラスなキャラクターや演出が楽しく、オチも笑える。もちろん怪物もしっかり登場。ということでラインナップ。
『Hallucinations』はヘボいけど本格ホラー、『セラーデュエラー』はコミックホラーとホラーが2本続いたので、少し違う路線もあったほうがお得な感じがする。ということでSF映画でファンタスティックでかつB級でできれば映画館で上映されたことのないような作品は何かないか……と考えて思い当たったのが超低予算ゾンビ映画『コリン LOVE OF THE DEAD』が話題を呼んだマーク・プライス監督の『デューン・サバイバー 砂の惑星』。低予算を逆手に取ってオールディーズSFに遺憾なくオマージュを捧げたオモチャ感覚のレトロ調B級宇宙SF、これは日本ではDVDスルーでまったく話題になりませんでしたが、埋もれさせておくには惜しい作品。
最後の1本は他の3本が英語作品なので別言語作品の方がバラエティ豊かでイイ感じ、ジャンル的にはホラー、ホラー、SFときたからアクションがいいな……と目星を付けておいた作品は日本での配給を担当した会社に問い合わせてみたらちょうど2025年で権利切れとのこと。上映は来年なので本国の権利元から上映許可をもらえばいいのですが、他の会社が既に権利交渉をしているかもしれないし(その可能性は限りなく低いが……)、上映許可の確約なく劇場に上映のお願いをすることはできないので、残念ながら次の機会にして、それとは別のアクション・ホラー映画の上映を現在検討中。
とこんな感じで、なんとなく形になってきたような、なっていないような。上映作品がおおむね決まったので、次は権利元に上映許可をもらう編です。乞うご期待。いや、乞わない!


