【きまぐれレポート】特色いろいろ世界の映画アーカイブをレポート
世界各国の映画アーカイブ・シネマテーク・博物館には、建物にも特色のあるものが多い。映画の保管施設と上映・展示施設が分かれていることもあるが、今回は主に、観客として訪ねられる施設の建築に注目してみたい。
まずはパリのシネマテーク・フランセーズ。白い外壁にうねうねした箱が連なる個性的な外観は「ダンシング・ハウス」などで知られる有名建築家フランク・ゲーリーが設計したもの。もともとは別の文化施設が入っていた建物らしいが、奇抜な外観ながら、白いクリーンな外壁が周囲に溶け込んでいて違和感がないのが匠の技。訪問した際の印象だが、隣接する公園とひと続きに見えるからか非常に広い敷地のように感じられた。
ほかのヨーロッパの施設に目を向けると、ボローニャ復元映画祭で有名なイタリアのチネテカ・ディ・ボローニャは、元たばこ工場を本部として利用している。近くには旧食肉処理場を再利用した上映施設などもあり、かつての産業地区が映画文化の拠点になっている。同じイタリアでも、トリノの国立映画博物館になると雰囲気はがらっと変わる。入居しているトリノのシンボル、モーレ・アントネリアーナは、巨大なドームの上に細長い塔が伸びている。エンパイア・ステート・ビルをぎゅっと縮めたようにも見える異形のフォルムだが、もともとは19世紀に建築されたシナゴーグという由緒正しい歴史ある建造物である。建築途中、資金難で市に売却されたため実際に礼拝堂として使われることはなかったという。
これらの建物だけでなく、映画施設には別の用途で建てられた建物を再利用した例がいくつもある。変わり種といえば、オーストラリアの首都・キャンベラにある国立映画・音声アーカイブ。こちらはどことなくホワイトハウスを思わせる端正な外観だが、もともとは解剖学研究所だったらしい。公式サイトによると、カモノハシを図案化したステンドグラスの天窓もあるそうで、内部の意匠にも見どころがある。一方、SFチックな外観で目を引くのが、オランダ・アムステルダムのアイ・フィルムミュージアム。巨大な紙飛行機のような白い建物で、何だかよくわからないがすごいの一言。ただ、映画施設というよりオペラハウスと言われた方がしっくりくるかもしれない。
ヨーロッパの話が多くなったので、今度は同じアジア圏の施設に目を向けてみる。北京にある中国電影資料館だが、「お役所感」が強い外観が特徴。どことなく西新宿みがあって、都庁の隣に建ってても違和感がない。なんとこの中国電影資料館、日本でも人気のソシャゲ『アークナイツ』とコラボしており、期間限定でゲーム内でキャラクターの専用衣装やアイコン入りのパックなどが販売されていたらしい。日本でもやはり小津安二郎×ちいかわのコラボくらいするべきかもしれない。なんかちいさくてローポジションなやつ。
北京の映画施設といえば、中国映画博物館もある。こちらは一般向けに映画技術の紹介を楽しめる博物館だが、とにかく規模が大きい。4階分の高さがあるという360度の巨大なLEDスクリーンまで設置されていて、もはや超巨大プラネタリウムのようだ。そのLED画面になんかティラノサウルスが映ってたりするのでちょっと映画マニア的には意味不明だが、小さい子供のいるご家庭なんかは非常に楽しめる施設だろう。しかもこれで入場無料!太っ腹すぎる。
こうした各国の特色ある施設に比べると、オフィス街にあることもあってか、京橋の国立映画アーカイブがとにかく地味に感じられる。しかし真向かいにある、やたらと大きなドトールだけはすごい。あれは日本最大のドトールかもしれない。立地が目と鼻の先なので、もはや「併設のカフェ」といっても過言ではない。もし世界の映画ファンと語り合う機会があれば、こう答えよう。日本の映画アーカイブは、併設のカフェのミラノサンドが最高であると・・・。


