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ワンサポナタイミン・ザ・幕

【コーエン添田のワンサポナタイミン・ザ・幕】第1回 この連載について

映像の世紀 バタフラーイエフェクト

そう宣言する渡部篤郎を幻視した。

私はたびたび渡部篤郎を幻視しており、TVシリーズ『ひぐらしのなく頃に業』がスタートした際には当作品に登場する富竹カメラマンに扮した渡部篤郎が「嫌なー事件だったね」と漏らした。京極夏彦の小説『絡新婦の理』を読み始めると、主人公格の京極堂に扮した渡部篤郎が「あなたがー蜘蛛だったのですね」と舞台上で看破した。

『映像の世紀 バタフライエフェクト』はNHKのTVシリーズである。かつての『映像の世紀』の年代記的な作りではなく、一つの出来事から派生したかのように素材を繋ぎ合わせ、百年を超える「映像の世紀」からドラマを見出す。危ういが、刺激的な番組である。

特番として放送された『カラーで蘇る映像の世紀』もインパクトがあった。厳選された映像素材に色がつき、実録であるのに『帝都物語』や『怒りの葡萄』を見ているようだったのである。

一瞬一瞬の映像が蓄積によって意味を持つ。それは見ている者の中の蓄積であったりする。映像の世紀。バタフラーイエフェクト。

私は渡部篤郎を幻視する傍らで、バタフライ・エフェクトを幻視することもある。それは推測を多分に含んだ物語なので、NHKの丹念な取材と注意深い編集による仕事と並べられるものではないが、私の前にこのTVシリーズが現れたこともまた。

そういった幻視が形になり次第、記録していく。

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