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【ミニミニ特集】映画の中の名づけようのない踊り

はじめまして、akと申します。

私が映画を観ていて、やたら気になるのは「映画の中のダンス」です。視覚と聴覚を同時にバチっと楽しませるダンスってそもそも映画と相性良いですよね。

『フラッシュダンス』『Shall we ダンス?』のようにタイトルがすでにダンスしている映画や、『グレイテスト・ショーマン』『フットルース』のようにダンスが物語の重要な要素になる映画、そもそも物語をダンスで引っ張るインド映画のように、映画の中にはダンスが溢れています。

もちろんカッコいいダンスも大好きですが、チマチマ書いている自分の映画感想ツイートを読み返して思ったのは、私はどうも「物語に放り込まれた謎のダンスシーン」が好きなようです。

そこで、おもしろダンスで私の心をグワシと掴んだ映画をまとめてみました。(←怪しいまとめサイトっぽい)

『CLIMAX』(2018/ギャスパー・ノエ)

この映画は通しでは1回しか観ていないのですが、冒頭10分弱の集団ダンスシーンだけ100回くらい観ています。

とにかくそのダンスが圧巻で冒頭からいきなりCLIMAXです。

即興のようで計算されつくした集団ダンスはどこを観ても面白く、それぞれのダンサーに動きのクセや個性が見えてくるとより楽しくなりLSDのような中毒性(不謹慎)があります。

20年前のユアン・マクレガーみたいなジャージのダンサーが、常人にはあり得ない肩の関節の可動域を見せつける恐怖軟体人間ダンスがカッコいいとキモチわるいの境目を突いてきて、私の心をザワつかせます。

どこかの映画祭だか試写会だかの壇上で、映画に登場するダンサーたちが即興でダンスを披露する動画がYouTubeに上がっていますが、ダンサーがカッコよくダンスをキメる横でクネクネしているムチムチおじさんが監督のギャスパー・ノエで、ああきっと良い人なんだろうなと思える変なダンスもあわせて推したいところです。

『魔の刻』(1985/降旗康男)

岩下志麻が実の息子(演じるのは目が死ぬ前の坂上忍)と近親相姦の関係に堕ちるというかなりキワドい映画です。しかし設定のキワドさとは裏腹に作風はどこか生真面目でお堅い印象です。

あまりおもしろくないねとダラァと観ていたのですが終盤、若者が溢れるディスコで酒を呷る岩下志麻は岡田裕介を「踊りません?」と誘います。そしてDJを金で買収しタンゴのレコードにかけさせ、打ち合わせナシで息ピッタリにゴリゴリの社交ダンスを踊り始めます。

ドン引きする若者を横目にうっとりする岡田裕介と岩下志麻を映し出し、もしやこれが「魔の刻」なのかと勘違いしてしまう濃厚な時間が流れます。

岩下志麻のキャラがなかなか強烈な映画ですので、突然社交ダンスを始めるくらい大したことないのですがとりあえず爆笑しました。

『フィギュアなあなた』(2013/石井隆)

石井隆の映画はダンスシーンが多いです。まるで異世界に誘うような、あるいは既に異世界に堕ちているようなダンスは石井隆作品の重要なファクターです。

『フィギュアなあなた』のヒロインは捨てられたラブドールです。人生のどん底にいる柄本佑を慰めるために心を持ったラブドールは、薄汚い街を背にバレリーナの格好で飛び回りますがそこはラブドールですのでノーパンです。飛び回るというのは文字通り本当にワイヤーアクション(?)で飛び回るため下から中身は丸見えです。(実際はうまいこと見えない)

素っ頓狂な夢を見ているような奇妙な味わいですが、リアルと幻想が絶妙に入り混じる美しくも哀しいシーンで涙が出ます。まさかノーパンのバレリーナで泣くことになるとは思いませんでしたが、だいたい石井隆作品のダンスシーンは切ないですよね。

『花園の迷宮』(1988/伊藤俊也)

お話は確か昭和初期の遊郭が舞台で内田裕也の棒読みが見どころのミステリーだったと思います。(あんまり覚えてない)

物語の中盤、ダンスホールで何かにキレた黒木瞳が唐突に一人で踊り狂います。周囲を挑発するようにアクセルベタ踏みで踊り狂う瞳の瞳はギンギンです。ダンスがキレキレなだけに急に暴走するダンスは狂気に満ち溢れ、飛び出してきた軽トラに撥ねられたような気分になりました。

やけに引いたアングルでエキストラもドン引きしているような演出は監督の嫌がらせのようで、しゃかりきに踊る黒木瞳を見放すかのようにカメラは俯瞰で引いていきます。

個人的には、黒木瞳は変な役を演じるときやたらイキイキするおもしろ女優だと思っていまして、この映画でもそんな魅力がパッショナブルに炸裂しています。

『クライムハンター 怒りの銃弾』(1989/大川俊道)

東映Vシネマの第一作らしく、主演は世良公則&本格的なガンアクションが見もので気合と銃器と爆薬は十分です。ヒロインの田中美奈子は「教会の金を奪い返すためにショーパブに潜入」というちょっと盛りすぎなボディコン網タイツ尼でちょうバブリーです。

ショーパブとは言いましたが洋館のような場所で、美奈子は変な建物の変な階段の変な踊り場で変な獅子舞と挑発的なダンスを始めます。しかしそのとんでもなくキレがないダンスは例えていうなら井森美幸のジャズダンスで牛乳を飲んでいたら吹くと思うので注意が必要です。踊りながらも背中には銃を背負っているハンターですのでダンススキルは物語上重要ではないとは思いますが、それにしたってこれはすごいぞと5回くらい巻き戻して観てしまいました。


他にも『サスペリア』や『ヴィデオドローム』など、やたらと心に残る変なダンスシーンはたくさんあるのですが、文章でその奇妙さを伝えきれず私の語彙力の限界です。

変なダンスシーンがある映画知ってたらぜひ教えてくださいねとそれっぽい言葉で締めさせていただきますさようなら。

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