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博多ゾンビ紀行

【博多ゾンビ紀行】第7回 実在のレスラー対ゾンビの戦い!?『サントvsゾンビ』は珍品中の珍品

どうもこんにちは、ハカタです。

Amazonプライム・ビデオ、使ってますか?
サブスクの中でもその圧倒的なお得さから登録している人も多いかもしれないが、このアマプラの魅力は安さだけではない。それはよく分からない謎映画の配信だ。VHSのみでDVD化もされてない、なんならソフト化すらない謎のジャンル映画をどういう権利の流れになってんのかもよく分からないが配信しまくっている。それはまるで昔のレンタルビデオ店のようないかがわしさと雑多さを感じる魔境で、それがトップ画面から数歩進んだところに広がっている・・・謎ゾンビ映画マニアからすればこれは非常に魅力的と言える。

さて、そんなアマプラで配信されてる謎ゾンビ映画の中でも特に謎コンセプトな映画がある。それがこの『サントvsゾンビ』だ。

この映画がどういう映画か説明すると、エル・サントというメキシコの実在の伝説的レスラーが本人役で主演し様々な化物や悪党と戦うサントシリーズのうちの一作である。
この時点でかなり謎なのだが、なんとこのシリーズ50作近くもあり、メキシコの寅さんとまで言われる人気シリーズとなっている。
今作の大まかな話としては、宝石店の強盗事件が発生したことを知ったプロレスラーのサントが捜査を始める・・・という感じだ。

この映画の特徴はなんといっても実際のプロレスのシーンが挟まれるところだ。
定点カメラでプロレスラーであるサントの普段の仕事を映す・・・それ自体はいいのだがこれが超長い、全体80分くらいしかないのに序盤10分くらいずっとプロレスを定点カメラで写し続ける、もちろん先程説明したストーリーとは全く関係がない!そんな映像がやっと終わったと思ってたらちょっと話進んだ後にまた始まる!!!合計分全体のおよそ1/4がプロレスシーンなのだ。

これは映画としてはどうなんだと言わざるを得ないが、おそらくテレビも普及してない時代にプロレスを直接観に行くことが出来ない人たちに向けての需要なのだと思うと責められない。しかもこのプロレスがこう見ると全く知らない僕でも結構楽しい!
言ってみればセリフでなくアクションで語る熱き戦いなのだからまさしく映画的なものと言える訳で、プロレスと映画の相性の良さが分かったのは発見だった。

当然リングの外でもプロレス要素満載だ。プロレスの試合を終えたサントは事件を知り謎のモニターを通じて警察と協力しながら捜査をする(バットマン的スタイル?)(ちなみにリングの外でもマスクは外さない)(あと服もプロレス衣装以外着ない)
そんな先々でゾンビに、それもこの映画は地味に貴重なロメロ以前のゾンビ映画なので割と知能が高いタイプのゾンビに襲われるのだが、それを言うまでもなくプロレス技で撃退する。
プロレス×ゾンビと言えば昨年『ゾンビ・プレジデント』が一部界隈で話題となったが、プロレス技でゾンビを撃退する謎ジャンルの歴史がここまで古かったとは・・・
何より衝撃的だったのはゾンビどもが不意をついてサントをダウンさせた際、特にトドメを刺そうとはせず、まず真っ先にマスクを外そうとする場面だ!リングの外でもプロレスの論理が続いとる!!!でもここが一番ハラハラするシーンなのも確かだ!!!!!
先程プロレスと映画の相性の良さについて述べたが、言ってしまえばこの映画自体もプロレスの一種なのかもしれない・・・プロレスが映画的なのであれば、映画もプロレス的と言えるのだ。
しかしこのパート、実際のプロレスの試合を見たあとだと少しモッタリしているように見えるのが惜しい。サービス精神(?)ゆえの欠点…!

この映画は一種のヒーローものの元祖なのだとも思った。マスクを付けたレスラーであるサントのキャラクター性、そしてその英雄性にはいくら道中モッタリしてたとしても魅了されてしまう。そういう風に観ればより楽しめるのではないだろうか。

こんな映画を配信してくれたAmazon様には感謝しかない。もしアマプラがなかったら、僕はこの実在プロレスラーvsゾンビという珍品などあまりにも観たすぎて観たすぎて発狂していたであろうことは目に見えているからだ・・・
さぁ次は何を観ようか。同じくサントシリーズの『サントvs女吸血鬼』か、あるいはサントのライバルブルーデーモンがゾンビと戦う『死者の侵略』か・・・映画の世界は広すぎるぜ!

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