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こないだビデマでこれ買った

【こないだビデマでこれ買った】Vol.3 『Ghoolies Go To College』(邦題:グーリーズ3/女子寮襲撃)を買った

これ、セールコーナーを物色していたら見つけておっ懐かしいなと衝動買いしてしまった。『グーリーズ』、覚えてますかもうヤングではないみなさん。便器から小鬼が顔を出してるあの印象的なビデオジャケット、一時期はわりとどこのビデオ屋のホラーコーナーでも見ましたよね。といっても俺がビデオ屋に通い始めたのは2000年頃のことなのでその頃には既に街のビデオ屋など風前の灯火でDVDの登場によりビデオ自体も数を減らし、どこのビデオ屋にもと断言できるだけの根拠はないが・・・まぁでも俺の通ってた何軒かのビデオ屋にはあった、と思う。

スピルバーグ×ジョー・ダンテのタッグが放った1984年の『グレムリン』が大ヒットしたので折からのSFXフィーバーもあり米国ホラー業界はパペット操演のクリーチャー映画がプチブームの様相を呈す。雨後の竹の子の中で一番成功したと思われるのはたぶん『クリッター』シリーズ。成功してない映画でも『トロル2/悪魔の森』なんかは後々カルト映画として人気を博すのでこのジャンルはわりとどれを見ても面白かった記憶がある。1993年の映画になるが『レプリコーン』とかもそうじゃなかったろうか。それともあれは人が入ってるんだろうか。おそらくこうしたパペット・クリーチャー映画の延長線上に1988年の『チャイルド・プレイ』があり、『グーリーズ』を製作した80年代米国ジャンル映画界の徒花エンパイア・ピクチャーズ的にはその二番煎じ作の『パペット・マスター』なんかがある。

そんな『グーリーズ』だが他の多くの雨後の竹の子作同様にビデオからDVDには昇格することができなかった・・・というわけでビデマにてその三作目になるがかなり久々の対面である。このシリーズは一作目と二作目は見た記憶があるがあまり細かいことは覚えてない。二作目は遊園地が舞台で小鬼が巨大化して暴れたりしてたから結構見た目に派手で面白かったんじゃないだろうか。といったところでそれ以外覚えてないのでやはりその程度の映画なんだろうなとも思うのだが。あ紹介遅れましたが『グーリーズ』はティーンがコミックな魔道書で小鬼を呼び出してしっちゃかめっちゃかになるホラーコメディです。

さて映画を見始めると今回はタイトルにもあるが学園編、開始早々に清掃員がキンタマに打撃を受けてその手から離れた清掃用のカートに学生が乗ってしまいそのまま書類の束を抱えた講師に激突、それを見て笑っていたケーキかなんか食べてる学生の頭にモップかなんかが飛んできて学生の顔はケーキにぐしゃ! みたいなきわめて原始的な、もといソリッドなお笑いが展開され、この映画が『アニマル・ハウス』的なプラクティカル・ジョークの映画であることが示される。プラクティカル・ジョークというのは手の込んだ攻撃的なイタズラのこと、70~80年代にかけてアメリカの大学ではこれが流行り、『アニマル・ハウス』を生み出したユーモア雑誌ナショナル・ランプーンのヒットが背景にあるようだが詳しいことはわからない。

プラクティカル・ジョーク旋風吹き荒れる学び舎なので教室に入るとみんな紙飛行機飛ばしたり爆竹投げたりなんかしててんやわんやの大騒ぎ・・・ってここは本当に大学なのか。Collegeだから大学だよな?と思わずグーグル検索をかけてしまった。グーリーズが来る前から既に破綻している教育環境に当然教授は大怒り。その教授のもとにひょんなことから(学生が授業中読んでた)魔道コミックブックが渡ってしまい、教授はナマイキでバカな学生どもをとっちめるべくグーリーズに寮を荒らすなどのスケールの小さい悪さをさせるのであった。

元々このシリーズはホラーコメディなので怖いところはほとんどなかったと思うが、終始ふざけっぱなしのこの三作目に至ってはコメディの上にホラーを冠する必要があるかどうかもわからない。小鬼のやることは部屋を荒らすとか冷蔵庫のビール全部飲むとか女子寮のストリップを覗くとかだし、それもこいつら言葉を普通に話すので軽口を叩きながらやる。一応魔物なので人を殺すこともあるが、その描写というのは舌を引っ張ったらびろ~んと3メートルぐらい伸びてその舌を首に巻き付けて死亡とか、トイレのスッポンで顔をスポンとして引っ張ったら驚きの吸引力で顔がぎゅ~んと伸びて死亡とか、洋式便器に押し込んで水に流して死亡とか、なんだかカートゥーンのようなものばかり。カートゥーンでお馴染みの丸くて黒い爆弾があの形状のまま出てきてその爆発に巻き込まれた警備員の髪がチリチリになったりするシーンもある。

小鬼たちの会話はどつき漫才のような感じでリーダー小鬼が他二匹の頭をごちんとやるとぼい~んみたいな気の抜けるアニメ的効果音が飛び出すというわけで、怖さで言えば『グレムリン』よりも怖くないぐらいなのだから、パペット・クリーチャー映画といっても近いのは『クリッター』などよりも(一応)こどもファンタジー映画の『ダーティ・キッズ ぶきみくん』かもしれない。あるいは『アニマル・ハウス』のジョン・ベルーシたちを小鬼に置き換えた版。底の抜けたパロディと過激なプラクティカル・ジョーク満載のナショナル・ランプーン映画『突撃!O・Cとスティッグス お笑い黙示録』とも空気感が近かったが、『突撃!O・Cとスティッグス』と比べればこちらの小鬼たちはイタズラをするにしても随分大人しい。

数は3体と少ないが小鬼たちの造形自体はなかなか良く出来ていて、いかんせん同時期の他のパペット・クリーチャー映画に比べるとカワイさもキモさもグロさも全部中途半端でキャラが弱いところもあるのだが、最後は教授と合体してデスピサロ化。前作では巨大化したのに今回は人間サイズのままなんだ・・・となにか予算的な事情が察せられたりもするが、なかなか楽しめた。せっかく小鬼の造形がいいんだから少しだけでもホラーっぽく撮ればよかったのにね。『クリッター』はそのへん絶妙だったのであくまでも異本国内の事情とはいえ、ビデオからDVDに昇格できなかったシリーズにはそれなりの事情もあるのだなぁなどと思う。でも『クリッター』が日本でDVD化されたのも比較的最近のことだったと思うので、映画好きのみんなが願えば『グーリーズ』シリーズも円盤ソフトが出るかもしれない。

問題は願う映画好きがいるのかということだが。

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ゆるふわ映画感想ブログ映画にわか管理人。好きな恐竜はジュラシックパークでデブを殺した毒のやつ。Twitter→@eiganiwaka