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こないだビデマでこれ買った

【こないだビデマでこれ買った】Vol.13 『The Nostril Picker』を買った

すごいインパクトのDVDジャケットである。その画像はIMDbの作品ページにあるから是非ともご覧いただきたいが、折りたたみナイフを握った汚いオッサンが青っ洟を撒き散らしながら鼻をほじっているのである。タイトルのNostrilとはなんだろうとネット辞書に全力で依存すると鼻の穴と出てくる。『鼻くそほじラー』!和訳すればThe Nostril Pickerはそのようになるのだろうと思われるが、いくらなんでもあんまりなタイトルではないかと思う。映画館に行ったら『鼻くそほじラー』なるタイトルの新作映画がやっているらしいと知ったとして「よし、見るか!」という気になる人間がこの世に存在するのだろうか。まぁ存在したんだろうな。俺もこのDVD買っちゃったし・・・。

タイトル及びメインビジュアルの時点で何かが既に終わっているがそこで終わって良しとしないのがこの映画『鼻くそほじラー』である。貧乏ハウスで友達なし恋人なし仕事をしている様子もなしの寂しい毎日を送っている怒りを秘めた負け犬中年はある日のこと町中で見知らぬ老人から魔法を授けられる。その魔法を使えば彼の願いが叶うというがバカバカしいそんなわけあるまい・・・そう思いつつ言われたとおりに魔法の踊りみたいのをやってみたところ鼻くそ中年に劇的ビフォーアフターが訪れる。なんと、周囲の人間には鼻くそ中年が高校生美少女に見えてしまうようになったのだ。

これがモラルなき昭和の日本映画なら鼻くそ中年は銭湯の女風呂を覗きに行ったに違いないがアメリカには銭湯がないので女子校に潜入する。高校生美少女に見えてしまうと書いたがなんらかの特撮などは駆使していないので絵的には鼻くそ中年が普通に女子グループの輪に交ざってなにやら神妙な面持ちで話を聞いているみたいなだいぶシュールな感じになる。ちなみに『鼻くそほじラー』と言いつつ鼻くそ中年が鼻くそをほじるのは家で一回に加えて女子校での授業中に一回ぐらいなので実はそんなに鼻くそはほじっていない。授業中にほじった鼻くそをピンと指で弾き飛ばすショットが印象的だったのでこんなタイトルになったのだろうか。

さてこれで鼻くそ中年の願いは果たされたかと思いきや女子校のどこでも自由に入り放題という邪悪ドリームを達成してなお鼻くそ中年は満たされない。むしろその魔法によって欲望に火が点いた鼻くそ中年は見た目だけ同世代の女子高生たちに警戒されないのをいいことに次々と鼻くそのついた魔手を伸ばし、ゴアく殺した上にその死体を食うなどの暴挙に出るのであった。底の抜けたバカ映画と見せかけて急にやることがめっちゃ陰惨!すったもんだの末に刑事に射殺されたと思いきや今度は見た目がその刑事になって安心しきった刑事の娘を殺害というラストも予想できるものとはいえそっちに振ってくるのか・・・という後味の悪さであった。

いったいこれはバカなコメディ映画なのかダークな殺人鬼映画なのか、どっちなのか。バカかと思ったら血なまぐさくなるし血なまぐさくなったかと思えば部屋の中で拾った女装の男娼とぐるぐる追いかけっこするみたいなバカになる。なんとも足場のフラついた映画だが、その不安定な作劇がハーシェル・ゴードン・ルイスのゴア映画を思わせる居心地の悪さを生んでおり、チープな中に妙な迫力を漂わせていることはたしか。監督のMark Nowickiという人はこれ一本しか映画を監督しておらず、本職は映画のポスプロでカラーグレーディングなどを行う裏方の職人のようだ。本職ではないからこそ作れた映画なのかもしれない。

ちなみにこの映画にはThe Nostril Pickerの他にThe Changerの別題があり、今回買ったMASSACRE VIDEOのソフトはジャケット裏側がThe Changerバージョンになったリバーシブル仕様だった。ちょっとだけ嬉しい。

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ゆるふわ映画感想ブログ映画にわか管理人。好きな恐竜はジュラシックパークでデブを殺した毒のやつ。Blueskyアカウント:@niwaka-movie.com