【たまに面白い映倫】第22報 『死霊のえじき』と『悪魔の毒々モンスター』
〈このコーナーはたまに面白い映倫の年齢区分指定理由や文章表現などを紹介するコーナーです〉
コロナ禍以降すっかり過去作のリバイバル上映が定着した観のある本邦映画業界。ついにはあの『エマニエル夫人』までもがリバイバルだそうですが、今回は『エマニエル夫人』ではなく、そういえばあの映画のリバイバル上映時の映倫判断は?と気になってしまったホラー映画のマスターピース2本の映倫テキストを紹介(引用はいずれもhttps://www.eirin.jp/より)
死霊のえじき
死者と生者の数が逆転し、地上にゾンビが蔓延する世界と成り果てたアメリカ・フロリダ州郊外のゾンビ研究地下施設。先の見えない行き詰まる日々の中、ローガン博士は1つの成果を見せる。ホラー。刺激の強いゾンビによる肉体損壊並びに自殺等の描写がみられ、標記区分に指定します。(※劇場再公開向け新版)(1時間41分)
こちらは2019年にリバイバル上映された際の映倫テキストで、映倫判断はR15。「刺激の強いゾンビによる肉体損壊」と言われれば、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』『ゾンビ』に続くジョージ・A・ロメロのリビングデッド三部作最終章にして、三部作中もっとも激しいゴア描写にあふれたこの映画ですからなるほどなと頷けますが、「刺激の強いゾンビによる肉体損壊」が「並びに自殺等の描写」と接続されて一文になると、見た人ならわかると思いますがそれはどっちの自殺シーンを指しているんだという気がしますね。拳銃自殺のシーンも自らゾンビに食べられに行く自殺のシーンも両方あるが・・・でもゾンビ食われ自殺の方は映画に影響されて真似したくなっても不可能なので、やはり拳銃自殺の方が問題となったんでしょうか。
悪魔の毒々モンスター
スポーツジムの清掃員メルヴィンは、いじめられて有毒廃棄物のドラム缶に突き落とされ、醜い“毒々モンスター”に変身、町の浄化に乗り出し、不良、強盗、ギャングや悪徳市長を倒し始める。アクション・コメディ、ホラー。大人向きの作品で、極めて刺激の強い飲酒運転・ゲーム感覚による年少者の轢き逃げ、殺傷・肉体損壊の連続、並びに性描写、ペット犬の射殺などみられ、標記区分に指定します。
(劇場再公開向け新版)(1時間32分)
こちらは2013年のリバイバル上映時の映倫テキスト、区分はもちろんR18。はい、すいませんでした!映倫審査員の怒ったもしくは呆れた顔があまりにも透けて見えてしまう映倫テキストに思わず一人で爆笑。「刺激の強い飲酒運転」「ゲーム感覚による年少者の轢き逃げ」「殺傷・肉体損壊の連続」「性描写、ペット犬の射殺」・・・とんでもない映画だなまったく!けしからんよこれは、実にけしからん!こんな映画を子供に見せられるか!でもこちらも見た人ならわかると思いますがブラックユーモアが過激なだけでストーリーは勧善懲悪、悪いことをしてはいけませんよという本当は道徳的な映画です。みなさんも「刺激の強い飲酒運転」「ゲーム感覚による年少者の轢き逃げ」「ペット犬の射殺」などの悪行は絶対にやめましょう。さもなくば・・・悪魔の毒々モンスターが「殺傷・肉体損壊の連続」にやってくるぞ!あるいは映倫の人に怒られます。