【映画で解決!捏造お悩み相談室】第7回 Q「フリーのネットショッピング配送ドライバーへの転職を考えています・・・」
悩み事の尽きない現代社会を生きるのは大変なことです。ことにその悩みを打ち明ける相手がいない、打ち明けても有効な解決策が出てこないという場合は尚のこと。でも大丈夫、そんなあなたのお悩み、きっと映画が解決します!
48歳男性、配送業をしています。相談したいのは仕事のことです。私の仕事は少し変わっていて、配送業といっても年に一度しか稼働する機会がありません。その点で配送業というよりも季節労働と言うべきかもしれません。配送日以外はトナカイの世話やイベント派遣が主な仕事となりますので、当然稼ぎは多くありません。配送という職業柄、いつまでも仕事が続けられる保証もなく、老後が不安です。そこで、現在フリーのネットショッピング配送ドライバーへの転職を考えています。もし参考になる映画があれば教えてください。
北極 ボンバーマンREVOLUTION
真摯なお便りをどうもありがとう。仕事の悩み、そしてお金の悩み。これは世界共通のものだね。北極にお住まいのボンバーマンREVOLUTIONさんのお悩みは私もよくわかります。北極なんていうと、極東日本に住む私からしたら夢の世界のようだけれども、そんな甘い話は・・・お前サンタクロースだろ!?北極に住んでいて年に一度配送して空いた日はトナカイの世話とイベント出演ってサンタクロースだろお前!?サンタさん・・・サンタさんでさえ転職を考えざるを得ない世知辛い世の中なのか・・・よし、わかりました、私も子供の頃はサンタさんのお世話になった身、今が恩返しをするときだ!ということでサンタさんに贈る映画はこちら!
『家族を想うとき』!!!!!
イギリス労働者階級の置かれた過酷な現実を冷徹でありながらも慈しむように描き続ける社会派の名匠ケン・ローチが、Amazonなどインターネット通販の配送を個人事業主として請け負う名目上はフリーのドライバーを題材にし、現代の病理ともいえるその問題点を抉り出した作品。二人の子供を抱えるリッキーはよりよい暮らしを求めてインターネット通販の配送ドライバーに転職する。だが業務は個人事業主として請け負うため配送車やガソリン代も含めて諸経費は自分持ち、そのうえ出来高払いによる高給という看板の実態は到底クリア不可能な量の配送ノルマだった。稼ぎは前職より増えることなく、心身の負担は増していく一方で、いつしか家族関係もギクシャクとしてくる中、リッキーはある決断を迫られる…。
ここ日本でも一時期大きく取り上げられた個人事業主扱いの配送ドライバーの労働問題。街で見かけない日はないUber EatsやMenuなども同様の労働形態で、契約上は業務委託のため事故に遭っても労災とならず運営会社の責任が問われない点については、国会でも法改正の必要性が議論された。法の抜け穴を突いたこうした労働形態は正社員やアルバイトといった他の労働形態と異なり労働者の保護が手薄く、かといって個人事業主同士を引き離し競争させることで成立しているシステムのため、他の労働形態に比べてとりわけ高給ということもない。時間は自由、働きたいだけ働ける、もちろんその働き方が性に合っているという人もいるだろうけれども、そんな美辞麗句の裏側には、決して甘くない労働搾取の現実があるのだ。
ということでサンタさん、ぜひとも『家族を想うとき』を見て個人配送ドライバーへの転職が自分にとってプラスになるかマイナスになるか、よく考えてみてほしい。転職によってサンタさんのクリスマスがクルシミマスになってしまうかもしれないのだから・・・!
※質問は完全に捏造なので応募とかしてこないでください。