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レンタル落ち映画の世界

【レンタル落ち映画の世界】第2回 レンタル落ち映画はタイムマシン!『アイアンクラッド』

世は大動画配信サービス時代です。

つい先日、某家電量販店の映画ソフト売り場がなくなるというつぶやきが、SNSでも軽く波紋を呼んでおりました。

動画配信サブスクで映画を見るのはとっても便利で私も、もちろん使ってはいますが、
サブスクで映画を見ることの、何が味気ないかというとやっぱり予告がないことではないかと思います。

今でもレンタルの映画ソフトはその点、予告編がぎっしり詰まっています。

この予告編をのんびり見て、本編への気持ちを盛り上げていくのもレンタル映画の醍醐味といえます。
映画館でも予告をみて映画を見る前に気分が持ち上がることっていうのはあると思いますが、同じくレンタルソフトの予告編を見るという行為、これは疑似映画館体験と行っても過言でもありません。

またレンタルソフトに入っている映画は普段映画館でかかるような、やわな映画たちだけではありません。シネコンでかかるような大作も、ミニシアター系も、グロいホラーも、そして何と言っても映画館でかかることなくビデオスルーとなった映画さえもが、ごった煮に流される場合も多く、それはもう刺激的なのです!

(余談ですが、かつての映画館は予告編が何でもありで、アニメ映画を見に行ったら残虐ホラーの予告を見せられて目に焼きついて離れなくなるという事はよくありました!)

しかも、それらが長いときには15分以上にわたって流れ続けます。今のお手軽、便利なサブスクの対局にあるようなたっぷり時間を使った「贅沢おうち映画体験」がレンタルビデオ、そして

レンタル落ち映画体験といえます。

レンタルビデオを再生したら、本編が始まる前に予告で気になった映画たちでamazonの買い物かごが一杯になっていた…!

みたいな事すらあります。僕はあります!

そして予告編というのは集客のための訴求力が求められますので、「おもしろそう」に作られているのが常です。何本も見るとなかなかに満足度が高い!また予告編だけの演出が施されていたり、予告編の出来が妙にいい映画というのもあります。↓これとか。

時々見たくなる『キャビン』の予告編。こういうのが良いんですよ。

…で意外と本編が始まる前に「うん、今日はいいもの見たな!」などといって満足してしまう。これもまた一興なのです。

レンタル落ち映画の場合は、懐かしいの映画予告を引き当てることもあり、またそれらはYou Tubeなどを探しても見れないものも多くあります。きっとそうして埋もれて行ってしまった映画の予行編、そして映画もきっと多いことでしょう。

「この年にはこういう映画があったのか…」ノスタルジーに浸ることも出来ますし、当時の劇場公開の新作予告なども入っている場合には、「前売り券で〇〇プレゼント」という広報部分がくっついていたりと、ちょっとしたメディア的な価値があります。

You Tubeとかに昔のテレビCMを集めた動画とかがたまにアップされていて、けっこう人気だと思いますが、そういう楽しみがレンタル落ち映画ソフトにはあるんです。

レンタル落ち映画はまさに当時の映画における空気感を封じ込めた

タイムマシン!

こればかりはサブスクではけして味わえない「体験」としての映画鑑賞なのです。


さて、では手持ちのレンタル落ち映画ソフトから今回も一本ご紹介。

『アイアンクラッド』

今回は何となくこれをチョイス。
イギリス・ドイツ・アメリカ合作の中世の第一時バロン戦争を舞台にした戦争アクション映画です。

歴史を雑に説明しておくと、王の権限を制限する憲章「マグナ・カルタ」とか聞いたことあるかと思いますが、それを拒んだイングランドの暴君ジョン王との内戦のお話です。史実にどれぐらい忠実かはわかりませんがそのジョン王が1000人の傭兵を従え襲ってくるのを、わずか20人の騎士が迎え撃ちます。

この映画は意外とすごくて、上映時間約2時間のうち1時間半は籠城戦をしては休憩、籠城戦をしては休憩といった調子の籠城戦&攻城戦好きにはたまらない映画なのが売りです。

超ブレまくる激しいカメラワーク(すごい酔う)だけは玉に瑕ですが、残酷で野蛮なアクションシーンは見どころがあり、中世の剣や斧での斬るというかは叩き割る、突き刺す、打ちつけるといった感じの泥臭いソードアクションが結構すごいです。腕が飛び!頭は割れ!鮮血が散る!千切れた腕で敵を殴打したり!死体を投石機で飛ばしたり!豚に火をつけて攻城兵器に使ったり!兵糧攻めに耐えかねてゴキブリを食ったり!きったないグロのオンパレードなのです!

そして次々倒れる仲間たち…とお決まりのパターンですが熱い展開。
終盤にはボスとの一騎打ちなど、意外と大満足の映画です。けっこうおすすめ!

キャストも主演のジェームズ・ピュアフォイはあんまり有名じゃないですが(『バイオハザード』とかに出てますが)意外とブライアン・コックスやポール・ジアマッティなどの名優が出ている豪華キャスト。チャールズ・ダンスが出ているのも『ゲーム・オブ・スローンズ』が有名となった今や「おおタイウィン・ラニスターだ」とちょっと気分が上がります。

現在はサブスク配信なし。ソフトは絶版でDVDのみ。当時TSUTAYAだけの独占レンタルでした。
Amazonで中古の出品の料金を見てみると¥5,480とお高め(2024年1月現在)
隠れた秀作だと思います。


中に入っていた映画の予告編について


今回『アイアンクラッド』に入っていた映画の予告は5本!

ザ・インシデント
アポロ18
アイアン・スカイ
アイ・ソウ・ザ・デビル
プレイバック

どうです、この顔ぶれ。ギリ『アイアン・スカイ』が有名でしょうか?

1本目 ザ・インシデント

停電となった精神障がい者の保護施設で暴動が起きるという映画だそうです。トロント映画祭で話題になったとか(どんな話題だか…)
未見ですが、評判を調べてみれば意外とおもしろいという意見もチラホラありました。驚いたのが脚本がなんと、最近『ブルータル・ジャスティス』などで話題となったS・クレイグ・ザラーなんですよ!ちょっと気になってきました!見よう!

2本目 アポロ18

アポロ13号の1年後にアポロ18号に乗って月に極秘で行った時の映像がネットで流出したのを編集したものです…という体のファウンド・フッテージ、POVホラーです。宇宙版の『ブレアウィチ・プロジェクト』といえば分かっていただけるでしょうか。もう大ボラつきまくった設定が良いですよね。まぁなんかの生物に月でみんな襲われて死んじゃうって映画ですが、月面着陸映像風に全編撮られているし、何となく『ゼロ・グラビティ』感もあったりして意外とおもしろいやつです。ぜひ。
ちなみにこの前後数年で『アルマズ・プロジェクト』『エウロパ』なんていうファウンド・フッテージ風の宇宙ホラー映画が続いてた次期でした。なんでだろう…

3本目 アイアン・スカイ 

※実際には公開当時の特典の缶バッジなどの広告付き

クラウンド・ファウンディングで生まれた!とか当時触れ込みだった、月にナチスが逃げ延びていてUFOで襲ってくる映画ですね。知名度は高い気がします。宇宙ナチとの全面戦争がみれるか!と思ったら意外とオフザケな映画でしたね(いや設定からしてフザケていますが)

4本目 アイ・ソウ・ザ・デビル

※日本版の予告でしたが見つからず


デニス・クエイドが殺人鬼役をしているホラー映画…らしいです。未見ですがデニス・クエイドが殺人鬼なのは意外とレアかもしれません。

5本目 プレイバック

※日本版の予告、見つからず

予告を見てるとクリスチャン・スレーターが!こんな映画やってたんですねぇ。主演ではなくチョイ役らしいですが。これはスナッフフィルム×心霊ビデオホラーみたいな映画ですね。ふーん。


という感じで今回も全然知らない映画が数本。『アイアン・スカイ』の予告編には枚売特典の缶バッジの情報などがついていました、しかも特典り第2弾はアイアン・スカイ版のキューピー人形だったようで、「第2弾もお楽しみに!」っというノリでキューピーちゃんのシルエットが写出だされていました。懐かしいですね当時「キューピー人形」や「BE@RBRICK」の前売特典って結構ありましたね。『イングロリアス・バスターズ』の「コエダリアン」とかトム・クルーズの『ワルキューレ』のコエダリアンとか。
あとそれで思い出しましたが「面白さタランかったら全額返金しバスターズ」キャンペーンとか(あれ返金してもらった人いるんでしょうか?)懐かしいです。

ということで映画ソフトの危機ですが。負けずに楽しい映画ライフを!そして新品ソフトもちゃんと買おうな!
そして『アイアンクラッド』のレンタル落ち、ぜひ探してみてください!

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ただ映画が好きな右利きの左腕です。 趣味はレンタル落ちビデオあさり。 基本的にX(ツイッター)でぶつぶつ映画の事を言っています。 X(Twitter)→@sa_wadayo