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こないだビデマでこれ買った

【こないだビデマでこれ買った】Vol.25 『ZOMBIE 3』を買った

おそらくこの記事を開いた大半の人はタイトルを見て疑問に思ったことだろう。『ゾンビ3』?そんなビッグメジャータイトルを?ついこのあいだ日本盤Blu-rayもホラーマニアックスから出たというのに?たしかに、そのような縛りがあるわけでは別にないのだが、ビデマさんは輸入盤ソフト専門店(でもレアな映画本とか国内版VHSも置いてます)。そのビデマで買ったソフトを紹介するという趣旨のコーナーであればやはりビデマならではの国内盤の出ていないようなソフトを紹介するべきだろうとは俺も思う。

しかし・・・まぁ特別編というか番外編的な感じで、今回はやはりこないだビデマで買った『ゾンビ3』のDVDのことを書かせていただきたい。このソフトはビデマのセール棚にありお値段1000円ということで実にお手頃価格、高校時代は伊東美和さんの『ゾンビ映画大事典』に触発されゾンビ映画DVDをブックオフで見つけては買い集めていたものだが、そういえば『ゾンビ3』はソフトを持っていなかったし、なんとなくゆるいトーンのイタリアン・ゾンビを見たい気分だったので、とりあえずの感じで確保した。こないだと言いつつそれがおそらく何ヶ月か前のこと。まぁ『ゾンビ3』だし見るのなんか後回しでいいやと思っているうちに年を越してしまい、詳細は書く必要もないだろうが今年2024年は激動のという以外に形容しようがない年始だったので、そのうちに買ったことさえ忘れてしまっていた。

ということでその存在を思い出し見ながら寝ようと思ってDVDをパソコンに放り込んだのがつい先日。懐かしいなぁ『ゾンビ3』。これはたしか中学時代にビデオ屋でジョー・ダマトの『ゾンビ‘99』とかと一緒に借りたんじゃないかな。詳しくは覚えていないが実にまったりとした平和な映画でしたね。内容がじゃなくてなんていうんですかこう、空気感がというか、現場の空気感を想像すればというか。こんな映画誰も本気になって撮ったりしないから現場もピリピリとかしないで楽しかったんじゃないでしょうか。フルチの現場なんかはフルチ演出の鬼だからスタッフもキャストもみんな大変だったみたいですが。

・・・とか思っていたらである。あれ、『ゾンビ3』これ・・・かなり面白くない!?睡眠導入DVDとして見始めたのになんと眠気が飛んでしまった。「ついに見つけたぞ・・・古来の秘術を・・・」みたいな教授的な人の台詞ひとつでよくわからんがとにかく墓から死者がザクザクと蘇り始め近くの屋敷に来てた暇な人々を片っ端から殺していくだけというきわめて粗雑なZOMBI 2こと『サンゲリア』の模倣作であることは間違いがないのだが、ポルノ畑のアンドレア・ビアンキが監督であるためかシナリオなんかどうでもいい感じで熟女優マリアンジェラ・ジョルダーノのエロシーンや(ゾンビが)食っただの食われただののシーンといったジャンル的見せ場ばかりをアップ多用の下品なカメラワークでひたすら繋ぐ構成は、言い方を変えれば退屈するシーンがない構成ということでもある。

そのうえどういうわけかゾンビメイクはかなり凝っていて実に汚く素敵だ。これももちろん『サンゲリア』の腐乱ゾンビ造型をストレートにパクっているわけだが、パクってこのクオリティが出せるのだからイタリアの映画職人たちはすごい。ズタボロの僧服みたいなゾンビ衣装に関してはむしろ『サンゲリア』を超えたのではないかというほどで、『サンゲリア』の現場にもノンクレジットで参加した特殊効果ジノ・デ・ロッシによるゾンビのぐちゃぐちゃ頭部破壊、クレジットされた出演作としてはこの映画一本のみでホラー映画史に伝説を刻んだ怪優ピーター・バークによるマリアンジェラ・ジョルダーノのおっぱい食いちぎり場面なども本家に勝るとも劣らぬビッグインパクトではないだろうか。

『ゾンビ3』に関して言いたいことはもっとあるのだが、しかしここはあくまでもこないだビデマで買ったものを紹介するコーナー。『ゾンビ3』の面白さについては別の機会に譲るとして、ZOMBIE 3というDVDの話へと進もう。勘のいい人ならこの表記を見て「ん?」と思ったかもしれない。というのも本人も先日亡くなった名映画バイヤー(名作映画バイヤーではない)叶井俊太郎との対談本『映画突破伝』の中で語っていることだが、『ゾンビ3』というタイトルはこの映画を買い付けた映画バイヤー・興行師の江戸木純が「送られてきた資料にゾンビが3人ぐらいしか写ってなかったから」という理由で名付けた邦題であり、原題はLe notti del terrore、海外向けの英語題はNights of Terrorと、これは本来であれば日本国外では通用しないはずの題名なのだ。

本来の(?)Zombi 3はフルチが当初監督予定だったものの撮影途中で降板しクウディオ・フラガッソとブルーノ・マッティが代打で仕上げた『サンゲリア2』。そしてzombie 4は日本でも『ゾンビ4』(ビデオ題は『人喰地獄 ゾンビ復活』)の邦題で公開されたクラウディオ・フラガッソのOltre la morte、英語題After Deathである。Zombiの後にeが付いたり付かなかったりややこしい上にそもそも『ゾンビ』の続編でもなんでもないわけだが、それにしても、ならどうしてこのNights of TerrorZombie 3のタイトルで海外盤DVDになっているのだろうか。

その答えはリリースしたレーベル名にあった。その名もJAPAN SHOCK。といっても日本のレーベルではなくどうやらオランダのレーベルで、『オールナイトロング』とか『ギニーピッグ』シリーズとかまぁ要するにその手の好事家向けエログロ邦画のソフトを中心にリリースしていたところのようだ。そのDVDジャケットをネットで探して見てみると日本語でタイトルが書かれていたりするので日本の宣材そのまま使ってるのかなと思ったが、よく見ると『処女のはらわた』の表記が『処女の腹わた』だったりと微妙に違和感があるので、日本語に堪能なオランダのカルト邦画マニアがパッションで作っているもの説が濃厚だ。

謎は解けた。このJAPAN SHOCKはカルト邦画の他にITALIAN SHOCKと銘打ってカルト系のイタリアン・ホラーもいくつかリリースしており、その一本がZombie 3なのだが、タイトルが国際標準であるところのNights of Terror表記ではないのは、このレーベルの担当者が『ゾンビ3』の邦題を知っていたから、と考えるのが妥当だろう。このソフトがリリースされたのは2001年。果たしてその影響によるものかどうかは知らないが、世界最大を謳う映画データベースサイトIMDbでNights of Terrorのページを見ると出てくる画像は『ゾンビ3』と大きく書かれたパイオニア盤DVDのジャケットだった。

ただでさえなにがなんだかわからないZombie(Zombi)シリーズの混乱に拍車を掛けたかもしれないJAPAN SHOCKによるZombie 3DVDリリース・・・そこにはなんというか国を超えたマニアの繋がりとパッションが感じられ、あくまでもなんとなくなんですが、なんとなく、なんとなく、イイ話っぽいような気がしないでもないような・・・しないか!

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ゆるふわ映画感想ブログ映画にわか管理人。好きな恐竜はジュラシックパークでデブを殺した毒のやつ。Twitter→@eiganiwaka