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こないだビデマでこれ買った

【こないだビデマでこれ買った】Vol.19 『CARNIVAL OF BLOOD』&『CURSE OF THE HEADLESS HORSEMAN』を買った

この二本の映画は一枚のディスクに入っていて、単品では商品として成立しないような70年代前後のアメリカのトラッシュ系ホラーとかはわりとこういう2in1の二本立て方式でソフトが売られたりするらしい。というかこのソフトのレーベルSOMETHING WEIRD ViDEOが映画史のゴミ埋め立て地から無理矢理トラッシュ映画を引っ張り出してきて白日の下に曝け出すありがたいのか迷惑なのかよくわからない(ありがたいとおもいます)商売をしているということだろう。日本でも遡ること十数年、トラッシュマウンテンビデオというレーベルが同じようなカルト映画二本立てのDVDシリーズを何枚も出していた。

トラッシュマウンテンビデオの場合はSOMETHING WEIRD ViDEOのように手元にあるやつぁなんでもかんでも売ってやれではなく、知名度は低くとも優れた映画とか何かしら強烈なところのあるカルト映画を厳選して2in1のソフトにしていたので、このレーベルにはずいぶん映画を勉強させてもらったなと今となれば思う。『地下室の魔物』、『恐怖の足跡』、『聖し血の夜』、『メサイア・オブ・ザ・デッド』、1964年版『地球最後の男』・・・配信リリースされている作品もあり今ではそれほど見ることが難しい映画ではないが、これら傑作カルトホラーの存在を教えてくれてソフト価格5000円程度(二本立てなので一本あたり2500円だ)で見せてもくれたのがトラッシュマウンテンビデオだったのだ。ありがとうトラッシュマウンテンビデオ。ああ、それにしても、あの頃がいちばん映画を楽しめていた気がするなぁ・・・。

話を戻してCARNIVAL OF BLOODCURSE OF THE HEADLESS HORSEMANの2in1DVDなのだが、こちらはいずれもドライブインシアターとか向けのやっつけ映画、映画黎明期から1980年代ぐらいまでは新作B級映画二本立て三本立ての興行は世界的に行われていたようなので、この2in1スタイルというのはそれを再現する意味もあるのだろう。当時の空気感を味わってもらうために画質っていうかマスターの質とかはカスである。画質劣化という概念のないDCP素材によるデジタル上映時代の今からすれば隔世の感だが、フィルム上映の時代には上映プリントが映画館から映画館へと回っていくうちにどんどん劣化していった。場末のムーブオーバー館とかドライブインシアターともなるとスクリーンに投影される映像は歴戦のヤクザの背中のように傷だらけである。その劣化はタランティーノが『グラインドハウス』でちょっとオシャレで面白いエフェクトとして取り入れてしまったことから今ではどいつもこいつもカジュアルにグラインドハウス・エフェクトを映画に入れるようになり・・・いや、それ以上は悪口にしかならないのでやめておこう。

とにかく、マスターが文字通りトラッシュなのでエフェクトではなくホンモノの劣化映像が味わえるこの二本、まずはCARNIVAL OF BLOODの方なのだが、これはコニー・アイランドの遊園地を舞台にした殺人鬼映画で、DVDのジャケ裏にはゴア映画のゴッドファーザー、ハーシェル・ゴードン・ルイスのスタイルで撮られた作品といった風に書いてある。たしかにそんな感じはした。この映像正規教育を受けていない素人による混乱した編集や乱暴な音付け、緊張感とは無縁の弛緩しきったストーリーテリング、にも関わらずゴア描写だけ無駄に本格的というあたり、新たに発掘されたルイス作品と言われたら信じてしまいそうだ。

ルイスの映画と異なる点を強いて挙げるなら、こちらCARNIVAL OF BLOODはせっかく作った内臓とか潰れた頭とかのゴア造形物にカメラが寄らない。ルイスの映画ならゴアは下品などアップにしてほらほら~これが見たいんでしょう~?とやるが、この映画では殺人鬼に刺された被害者の腹から内臓が出たりなんかしてるのに、カメラはそれを微動だにせず何事もなかったかのように遠くから撮り続けるだけ。その興味の無さが企まぬドキュメンタリー性を醸し出してなんだか怖くなってしまう。実際のスナッフフィルムとかこんな感じだろうなみたいな。

それ以外の時間はまくし立てる女の生首を合成した『四匹の蠅』を思わせるタイトルバックを除いてほぼすべて無でありヒッピー男女のラブシーンとか口論とか占い婆を襲う恐怖の予知とか本当にどうでもいいと思うのだが、先日亡くなったバート・ヤングが殺人鬼と思わせておいて実は殺人鬼ではない単なる可哀相なせむしの人を演じているのは多少の見所、こんな映画のしょうもない端役なのに他の素人役者たちと違って存在感のあるプロの怪奇芝居をしており、さすが名優は違うなと思わされた。R.I.P.バート・ヤング。なにか冒涜のような追悼になってしまったが・・・。

もう一本のCURSE OF THE HEADLESS HORSEMANは『キャット・ウーマンの呪い』とか『スリーピー・ホロウ』と同じ首なし騎士の伝説を題材にしたもの。実はこちらの映画の方がCARNIVAL OF BLOODより面白そうな気がしていたのだが、期待を込めて見るトラッシュ映画が面白いわけがない。この映画に登場する首なし騎士は人死にが出るほどの激しいご近所トラブルを抱えた村人たちの罪悪感や恐怖心を象徴する存在であり、人の頭をたくさん収穫していくような元気かつ血まみれの首なし騎士ではなかったのだ。ラリッたヒッピーが首なし騎士から逃げるシーンはフィルター処理で画面の色を赤とか青とかに変えていてアシッド感を出してはいるが、見所というにはショボすぎるだろう。

最初と最後に1972年の映画にしては古めかしいナレーションが入りみなさんも首なし騎士にはお気を付けください・・・フフフフフ・・・とか喪黒福造みたいなことを言うので、ホラーというよりダークな寓話といった方が正しいかもしれない。首なし騎士が往くところ村人たちに不和が生じ愛憎は憎悪に変わる。どうもヒッピー若者と保守村人の対立が物語の軸らしいが聞き取れないしよくわからんかった。

大して面白くもないトラッシュホラーを二本も見てしまったらもう腹ぺこでお腹いっぱいなのだが、二本計170分も映画が入ってるのにこのソフトには更に映像特典がいくつも詰め込まれている。関係ないトラッシュホラーの予告編集、関係ない上にホラーの括りでもなく『バーバレラ』とかも混ざってる主にトラッシュ系映画の雑多なロビーカードギャラリー、関係ないけど映画の理解には役立つかもしれないカーニバルの短編映画とせむし男の短編映画etcというわけでおそるべし低画質力である。本編の画質を限界まで下げればDVDでもこれだけ映像を入れることができる!高画質当たり前時代に生きるわれわれがSOMETHING WEIRD ViDEOのトラッシュDVDから学ぶべきことは多い。

特典映像の中では8mmカメラで撮られたせむし男の短編ホラーが可愛らしくてよかったのだが(凶器なんか使わず横にした近所の人をバカバカ~とぽかぽか叩いて殺しゴミ箱まで転がしていくだけの数分間)すごかったのはThree on a Meathookという映画の予告編で、主人公と思しき女の人が怪しい小屋に入ると中には三つの食肉鉤に吊された三人の女の人がいて主人公と思しき女の人キャアアアア!ここでタイトルが出て予告編は終わるのだが出オチどころか予告編オチ過ぎてこんなの流して大丈夫なのか、逆にこのシーン見たからいいやと思って客来なくなるんじゃないかと思ってしまったし、なんだか出来すぎた下らなさだったのでフェイク予告編を疑ってしまった。しかしこの映画はちゃんと実在するらしい。しかも監督が便乗映画界のスピルバーグことウィリアム・ガードラー。いつかはこの映画も見てみたいものだ。面白くないのはわかってる。

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ゆるふわ映画感想ブログ映画にわか管理人。好きな恐竜はジュラシックパークでデブを殺した毒のやつ。Twitter→@eiganiwaka