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こないだビデマでこれ買った

【こないだビデマでこれ買った】Vol.47 『Alien 2: On Earth』(邦題『エイリアンズ』)を買った

大人気なのかは微妙な気がするが新作が出れば結局見てしまうでお馴染みの『エイリアン』シリーズ。現在ディズニープラスで配信中のその最新作『エイリアン:アース』はシリーズ初のテレビドラマにしてついに地球が舞台となった。思えば初代『エイリアン』はエイリアンを地球に持ち帰ろうと目論むウェイランド湯谷社の陰謀が物語の鍵だったし『エイリアン4』はラストでリプリーのクローンが地球に帰還するというもので・・・いや、待った。そのずっと前に『エイリアン』が地球に来ていたことをみなさんはご存じだろうか?

その名もAlien 2: sulla Terra、英語タイトルは『エイリアン:アース』(ALIEN EARTH)に限りなく近いAlien 2: On Earth(日本では『エイリアンズ』のタイトルでビデオ発売された)。もう言うまでもないかもしれませんがイタリア映画界による『エイリアン』勝手に続編だ。『ゾンビ』が公開されれば速攻でZOMBI 2(『サンゲリア』)が作られ『エイリアン』がヒットすればAlien 2。人の心がないのであろうかいやないか。この映画と同じ1980年には更に別の『エイリアン』便乗作として『エイリアン・ドローム』も放っているイタリア映画界の生命力の強さを見ているとなんだか生きる気力が湧いてくる。IMDbのトリビアコーナーによるとこんなタイトルなので当然『エイリアン』を配給した20世紀フォックスから訴えられたが監督側はこのタイトルは1930年代のSF小説Alienから採られたものと強弁し見事認められたという。感動。

内容面についてはあんまり語ることがなくなんだかんだ見せ場の連続だった『エイリアン・ドローム』と比べればこちらAlien 2はナンバリングタイトル(?)にも関わらず薄味。知らんけどなんとしてでもさっさとこのタイトルで劇場にかけることを優先してあんまり中身を作り込む時間が取れなかったんだろう。宇宙飛行士が地球に帰ってきたら寄生エイリアンがお土産についてきてなぜか洞窟探検隊がそれに遭遇、探検隊の生き残りが脱出すると街からは人気がなくどうやら地球は寄生エイリアンに支配されてしまったようであったちゃんちゃんの展開はあまりにもイタリア的ベタ。

洞窟をセットではなくリアル鍾乳洞ロケで撮っているのも予算と時間のなさゆえかもしれない。せっかくリアル鍾乳洞に行ったのだからと上から下からやたらと鍾乳洞の内部ばかりを撮ってまるで風景ビデオみたいになっている。たしかにそれも興味深いがエイリアンを見せてくれないかなエイリアンを・・・そのエイリアン、出番の少なさもさることながらレバーを団子にしたような掴み所のない見た目でズルっとくる。どうもこのエイリアンはアメーバ様の生物のようで人間を乗っ取り機が熟すと乗っ取った肉体ごと爆発、飛び散ったそれぞれの肉片や臓物がエイリアンとして動いているのでその設定は最悪に趣味が悪くて好感が持てるが、『エイリアン』のあのアイコニックな宇宙生物と比べてしまうとインパクトが弱いことは否めないしあとその設定ちょっと『エイリアン・ドローム』と被ってるじゃねぇか。どっちがどっちをパクったんだ。どうでもいいか。

こういう映画を見ると完全に『ゾンビ』のパクリ企画なのにオリジナルな世界を完成させたばかりでなく技術面ではオリジナルを超えるゾンビ像を提示した『サンゲリア』が偉大な芸術作品と見えてきてしまう。肉片臓物エイリアンという設定はいいがAlien 2のそれはちょっと特殊メイクにやる気がない。とはいえ、エイリアンに寄生された探検隊メンバーの脚から顔面までをカメラが長回しのトラック撮影で捉えて顔面が画面に入ったところで爆発!のショットは不気味な緊張感があったし、単に早朝の街で撮影しただけの人の居なくなった終末世界もがんばって早起きした甲斐があってちゃんと終末世界っぽく見えた。なんだかんだ肉片臓物エイリアンも気持ち悪くてイイし、どちらかといえば『エイリアン』というよりも『吸血鬼ゴケミドロ』に近い気がするが、なにはともあれ、『エイリアン:アース』を見る前にはぜひとも押さえておきたいAlien 2: On Earthであった。

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ゆるふわ映画感想ブログ映画にわか管理人。好きな恐竜はジュラシックパークでデブを殺した毒のやつ。Blueskyアカウント:@niwaka-movie.com