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映画観客鑑賞録

【須藤にわかの映画観客鑑賞録】第2回 『ランド・オブ・ザ・デッド』の客

池袋の名画座・新文芸坐でデヴィッド・リンチのオールナイト上映をやった時だと思うが近くの席に男子学生二人組が座っていてこんな話をしていた。「それがすげぇバカバカしい映画だったんだよ、花火を打ち上げてゾンビの気を引くっていう・・・」花火とゾンビといえば巨匠ジョージ・A・ロメロ監督の『ランド・オブ・ザ・デッド』だ。『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』『ゾンビ』『死霊のえじき』に続くリビングデッド・サーガの第四弾で、『死霊のえじき』から実に16年ぶりとなるロメロの終末ゾンビ映画ということで公開時には俺含めビデオ屋のホラーコーナーにしか居場所のない連中が大いに沸いたものだ。それを「バカバカしい映画」とは失礼千万厚顔無恥だが、ロメロのブランドに価値を感じない世代なのだろう。ロメロほどの巨匠でもこの扱い。切ない。

そういえば『ランド・オブ・ザ・デッド』を公開初日に観に行った時にはこんな客がいた。その男は頼りにならない記憶を辿れば野球帽を被って腰にはポーチをつけた恰幅のいい男。上映終了後、ゾンビの如くトイレに押しかける観客たちの中に男はいて、彼は驚いたように言った。「もう終わりなの!? もう終わっちゃった! いや面白ぇなぁこれ!」声がでかい。そして話し相手はいない。独り言を我慢できない人であった。トイレ待ちの間ずっと独り言は続く。「俺こういうの大好きなんだよ! 全部持ってるよビデオ!『死霊のしたたり』!『死霊のはらわた』! 全部持ってるんだよ! もう終わっちゃうんだ! 面白かったなぁ!」全部持っていると言っているわりにはそんなにビデオ持ってねぇじゃねぇかと思うが口に出したのが二本だけで家に行けば宮崎勤の部屋みたいになっているのかもしれない。

男の独り言は途切れることなく続いたが誰も相槌を打つことも目を合わせることもなかった。けれどもあの場にいたゾンビ客たちのほとんどは男の独り言にそっと心の中で拍手を贈ったのではないだろうか。もう製作されることがないと誰もが思っていたに違いないロメロのリビングデッド・サーガの最新作である。それを公開初日に観たホラーファンの反応としてこれほど正しいものはない。論評も的確だ。面白いが上映時間が短い。『ランド・オブ・ザ・デッド』を観たホラーファンの誰もが思ったことだろう。俺も「もう終わっちゃうんだ!」ってエンドロールに入った時おもった。

デヴィッド・リンチのオールナイトで『ランド・オブ・ザ・デッド』をこき下していた男子学生にはあの独り言男のような興奮と歓喜に満ちた映画体験があるだろうか、と思えばイラつきは同情へと変わる。俺はお前たちには信じられないようなものを見てきた・・・それは『ゾンビ』じゃなくて『ブレードランナー』だけど。

4 コメント

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