アカデミー授賞式が暴行現場となってからはや一年である。話題の人となったウィル・スミスとクリス・ロックの二人は今どうしているのだろうか？
　まず、例の事件の加害者となったウィル・スミスであるが、アカデミー賞運営から10年間の出禁処分を食らっている。事件直後、インスタグラムに「暴力は常に有害で破壊的なものです」「クリスに謝ります。私の振る舞いは間違っていて、一線を超えたものでした」との文章を投稿し、その数ヶ月後には謝罪動画を公開している。謝り倒しである。
　日本ツイッターではウィル・スミスを擁護する投稿が多かったが、少なくとも公的にはウィルが加害者でクリス・ロックが被害者であるということになっているのだ。

　さて、ウィルのビンタ後のキャリアはというと、アップルTVで主演作『自由への道』が公開されたものの『バッドボーイズ』の新作は一時中断し(現在は再開)、同じく予定されていたネトフリ のアクションスリラー『ブライト』の続編は制作中止となっている。
　対するクリス・ロックは「金をもらわない限り話さないよ」と発言していたが、最近ネットフリックスで公開された自身の生ライブ『クリス・ロックの勝手に激おこ』で、こう語っている。

　「ウィル・スミスは怒る相手を選んでんだよ。ウィルの奥さんが息子の友達とファックしてた。しかも本人たちがネットで語ってた。才能ある二人がなんでそんなバカなことしたんだ？」
　「浮気した人がされた人にインタビューするなんて前代未聞だよ。ねえ私、他の男のチ●ポをしゃぶったの。どんな気持ち？（とでも言うのか？）」
　「数年前のアカデミー賞でジェイダは俺に司会をやめろって言ってきた。自分の夫がノミネートされなかったからだとよ！意味不明だ。喧嘩は売ってねえ。彼女が始めたんだ！」

　・・・思ったよりだいぶヘビーな話だったが、「俺はオプラの番組で被害者ヅラしたりしねえ。メン・イン・ブラック好きだったのに！って泣きついたりしねーぜ」「親に白人の前でケンカすんなって言われてきたんだよ！」と殊勝に言ってのけるあたりに芸人魂を感じる。しかもライブを行ったのは、NYやLAではなくジェイダの故郷ボルチモアなのだ。クリス・ロックの復讐心はすごい。
　ちなみに騒動後ネトフリにあるクリス・ロックの番組と他の黒人スタンダップコメディアンの番組を見比べてみたのだが、圧倒的にクリス・ロックが面白かった。かつて彼はアジア人差別ネタで抗議されたことがあったそうだが、番組を見ると強者だろうか弱者だろうがこの世の全員を平等に笑いとばすぜ！という芸風の人であって、決して弱いものいじめの人ではないと言っておこう。（個人の感想です）

　さて、このアカデミー賞ビンタ騒動から我々が学べることがは何だろうか？それは「何もない」ということである。アカデミー賞授賞式という世界中の人から監視される超特殊環境で超金持ちのコメディアンが超金持ちの女優をネタにしてその女優の夫である超超超金持ちの俳優が超金持ちのコメディアンを殴った。

  もう、我々の人生と重なるところが一切ない。マジでない。だからどっちが悪いとか言うこと自体ナンセンスである。（映像ではウィル・スミスもクリス・ロックのネタに最初は笑っていたことがはっきり確認できる）
　病気の女房が馬鹿にされたのが、ど〜しても許せなくて爆発してしまった・・・というのは視聴者が勝手に作り上げ、そしてウィル・スミスが主張するストーリーにすぎない。

　だから「クリス・ロックがGIジェーンとジェイダをネタにして、ウィル・スミスが殴った」という事実以外何も言えることはない。 一番悪いのは、何も学べることのないセレブ同士の暴力事件で、何かうまいことを言おうとするネット民が一番悪い！ということです。（つまりこの記事も悪い！）

　一応言っとくが、一般庶民がパート先でいじめられてストレスで禿げちゃった母ちゃんのことを事情を知らんやつに笑われたりしたら、問題無用で殴っていいんだよ。そんなもん日常の一コマだろ。相手が悪い。

　さて、初代『GIジェーン』としてネタにされてしまったデミ・ムーアの話をしよう。
　彼女のインスタを見ると、元夫ブルース・ウィリスと現妻エマ・ヘミングと、その子供たちとの仲睦まじく素朴な家族写真の投稿が見られる。エマはデミの経営する水着ブランドのモデルを務めるなど、ステップファミリーとして良い関係を築いているようだ。脂ぎったかつてのハリウッドＮo.1カップルがこうも変わるのか・・・と驚きを禁じ得ない。（デミがウィリスの介護のため引っ越したと言う報道があったが、エマによって否定されている）
　ビンタ男たちの話はどうでもいい！みんなでデミとブルース・ウィリス一家の新しい門出を応援しよう！