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【ミニミニ特集】酷暑なら映画でレジャーに出かければいいじゃない!レジャー映画10選!

ひゃっほーい!やってまいりました夏!サマー!サマーといえばレジャーだよな!どこに行こうかな~山かな~海かな~意表を突いてウルグアイかな~・・・・・・シャラップ!暑くて外なんか出たくないでしょうが!

やれやれ、地球温暖化には困ったものです。とはいえ夏がレジャーの季節であることには変わりありません。リアルレジャーが厳しいなら・・・・・・そうだ!映画でレジャーしよう!ということで集めました古今東西さまざまなレジャー映画の傑作!これを読んであなたも自宅でレッツレジャーだ!

猿の惑星(1968)

レジャー【leisure】
仕事などから解放された自由な時間。余暇。また、それを利用してする娯楽や行楽。「—産業」「—人口」

ーWeblio辞書 国語より

グリズリー目線で見て、最も特筆すべきレジャー映画の名作の一つと言えば、やはりこの作品であろう。主人公のテイラー一行は、地球時間で実に2000年もの時が経過した世界で、人間と猿の立場が逆転した惑星へと到着する。彼らは仕事や生活に留まらない、元いた時代のすべてと永遠に訣別するレジャーへと旅立ったのだ。

いささか荒唐無稽な設定ではあるが、この映画の主軸はSFよりも、逆転世界を通して、人間社会への批判的なまなざしが提起されるといった、寓話的な部分にある。そこで描かれるのは、「人間>猿(に限らない) のような常識的な優劣の序列がもし崩れたら?」ということにも思えるし、テイラーに対する猿たちの異端審問等を通して、人間の愚かしさの歴史を批判しているようにも思える。

人間の文明社会など必ずしも絶対的なものではない。自分たちが常に動物よりも優れた存在であるなどと思うのは傲慢である。そんなテーマを投げかけているかのようで、グリズリー目線では興味を引かれずにはいられない傑作映画なのである。

本作は現代に至るまでシリーズ展開が続けられており、大好きなシリーズの一つだが、次は是非とも「熊の惑星」シリーズの製作展開を期待したいものである。

(山荒し〔グリズリー〕)

13日の金曜日 (1980)

夏のレジャーといえばキャンプ!そして若者たちに人気のキャンプ場といえば…そう!いわくつきの「死のキャンプ場」だよね!13日の金曜日にみんなあつまれ!殺戮の森!

作品冒頭から起こる突然の殺戮シーン。実はこれは過去の映像だという事が分かるのだが、そこから数十年、若者たちは地元住民の忠告を無視して、6月13日の金曜日にクリスタル湖キャンプ場に集まってしまうのだった…。

みなさんお馴染みの『13日の金曜日』シリーズの記念すべき第一作目。タイトルを聞いて多くの人が思い浮かべる「ホッケーマスクを被ったジェイソン」は出てこないのだけれど、暗闇や物陰を使ったスリラー表現が丁寧に描かれていて結構怖い!特に二段ベッドを使ったホラー演出は素晴らしいの一言!その後のアクション的なホラー演出は抑え目で、どちらかというと『サイコ』のような心理的に嫌だなぁ~なんだか怖いなぁ~というスリラー演出が光る一作となっている。

『ゾンビ』で有名なトム・サヴィー二の特殊メイクも残忍でサイコー!アッと驚くような奇妙奇天烈なラストは好き嫌いが分かれると思うけど、この奇妙な終わり方によって長年続くシリーズ作品になったと思うと感慨深い。丁寧なホラー演出に芸術的な映像美、そしてそれをひっくり返すような奇妙奇天烈なラストが組み合わさった、まさにホラー映画の金字塔!若者たちよ!面白そうだからといって、わざわざいわくつきの「死のキャンプ場」には行くなよ!絶対に!!(若者たち、多分行きます)

ぺんじん

エイリアンVSプレデター(2004)

いやはや酷暑でたいへんだ。こんな時にはヒヤッと南極にでも行きたいものですな。おや、ちょうどよく南極ツアーの募集が出ているではないか。なになに・・・ウェイランド湯谷社が贈るカチコチ・ツアー、南極でみんなもエイリアンと握手!・・・へぇ!南極で涼めるだけじゃなくてエイリアンまで見られるのかー!そういえばエイリアンって上野動物園にもいないから生で見たことないな!円安だけど日系企業だから安いみたいだし、ちょっと奮発して南極でエイリアンでも見てくるか!と思ったら南極でエイリアンとプレデターの抗争勃発!しまった!海外旅行の時はしっかりと外務省のサイトとかで紛争リスクをチェックしておくんだった!

とそんなわけで『エイリアンVSプレデター』でございます。人気SF映画シリーズの『エイリアン』と『プレデター』のクロスオーバー作品であるこの映画、監督が『バイオハザード』のポール・W・S・アンダーソンだけあって細かい設定の相違えを除けばやってることはだいたい『バイオハザード』と一緒、エイリアンの巣食う南極地下の古代遺跡を舞台に人間達が決死のサバイバルを繰り広げているところにプレデターが乱入します。

『エイリアン』と『プレデター』のクロスオーバー作品としてはさすがに力不足の観ですが、午後ロー的なB級SFアクションとしてはテンポも良く及第点。ここから『エイリアン』と『プレデター』両シリーズのフランチャイズ展開が始まったという点で実はひそかな重要作でもある、夏休みにぴったりの暇つぶし映画かもしれません。

さわだ

宝島(2019)

湖にいろんな水系の遊具やレジャー体験サービスを敷設した言ってみればフランスの東京サマーランドのようなところに集まるキッズ集団やら若者カップルやら飲食売店バイトの人やらを捉えた現代フランス屈指のバカンス映画監督ギヨーム・ブラックによる群像バカンス映画・・・という説明は間違いではないのだが、さしてドラマティックな出来事などは起こらないとしても、バカンスのひとときを時に楽しみ時に気怠く過ごす人々の姿をとても自然に捉えているだけでなく台詞回しがどこか詩的だったりするのでてっきりフィクションとばかり思っていたら、なんとドキュメンタリー。

フランス人がまるで映画のようなバカンスを過ごしているのか、それともフランスのバカンス映画が現実のフランス式バカンスの光景を再現しているだけなのかわからないが(後者のような気はしてる)、ちょっと驚かされます。

見所はなんといっても大したことが起こらないところ。それは見所なのか・・・?と思われるかもしれませんが、大事件などが起こってしまったらバカンスではございません。太陽の光を存分に浴びながら水辺でパシャパシャやったり売店でアイス買ったりカヌーに挑戦してみたらパラソルの下でサングラスかけてグースカ眠ってみたりと無為の時間を過ごすのがバカンス。その他愛のなさの中に青春のきらめきやおかしみが光る至福の一編がこちらでございます。こんな映画を観れば夏も案外悪くないかもと思えてきちゃったりなんかしてね。

(さわだ)

ウエストワールド(1973)

 マイケル・クライトンこそミスター・レジャー映画では?

 『ジュラシック・パーク』を書いた人がこの『ウエストワールド』を撮ったというのは何かの冗談のようだ。同じ話すぎる。
 ユル・ブリンナーの顔がパカッと開いているヴィジュアルが本作の売りを端的に説明している。西部劇の見た目をしたロボットSFであり、ロボットSFをダシにした西部劇である。
 人が西部劇を見に行く動機の一つである、馬車が横切る街の描写。そこには例えば電線のような不純物は映っていない。それが達成されている。だからこの映画ははっきりと西部劇なのだ。この映画では西部劇的な景色と近未来的ディストピアの景色がはっきり分けられている。そのことはテーマパークの基本でもある。
 荒野を舞台にして追跡劇が行われるのも嬉しい。追跡が砂や土の中で行われ終わることが本作の西部劇性を最後まで保っている。本作は『荒野の七人』や『ワイルドバンチ』を引用したメタな西部劇としても、それらと同時代に作られた真っ当な西部劇としても見ることができる。

コーエン添田

ポセイドン(2006)

言わずと知れた(?)「ポセイドン・アドベンチャー」(1972)のリメイク作品。大型豪華客船の楽しいレジャーツアーが、一転大波による事故で船が転覆し、地獄のサバイバルレジャーになるという作品だが、今回はオリジナルと比べてあまり日の当たらない印象のある、このリメイク版をあえて取り上げたい。というのも、個人的にはこの作品、世評のイマイチな印象に反してなかなかの佳作だと思うからだ。

この作品が優れていると思うポイントは2点ある。一つ目は、その残酷すぎる展開。ついさっき助けてくれた好青年を、自分だけでも助かるために蹴落とさなければならない場面や、脱出のために、往復が不可能な距離を誰かが泳いで行かなければいけなくなる等、悲痛な展開が散りばめられているが、予測不可能な極限状況で生き残るため、時には非情な判断も必要になるということがよく表現されているように思う。

二つ目は、最新技術でより事故の解像度を上げている点。CG技術を活かして、オリジナル版の時代には無かった、船の転覆から沈没までを上空から捉えた視点や、転覆の原因となる大波の様子などが表現されている。これにより、事故の絶望感や海の恐ろしさの迫力が増している。

個人的には上記の2点とも、オリジナルとの差別化を図っているとも取れる好感の持てる挑戦であるように思う。また、生存の過酷さや、自然(海)の容赦のなさという部分は、グリズリー視点ではとても身近に感じられるポイントかと思う。人間もグリズリーも一見の価値ありの作品だ。

(山荒し〔グリズリー〕)

菊次郎の夏(1999)

物語が素敵なのは、そこに出会いと別れがあるからだと思う。レジャー映画という言葉から浮かぶのは冒険モノやロードムービーであった。それらは行く先々で様々な人と出会い、刹那の交流があって、やがて別れる。彼らのその後は分からない。この少しの切なさこそが、私の考える「夏にやってそうなレジャーっぽい映画」の一番の魅力である。

『菊次郎の夏』はたけし映画にしては珍しく純朴な、少年がおじさんと遊んでばかりのロードムービーである。行く先々でいろんな人と出会い、刹那の楽しい時間を過ごし、やがて別れていく。菊次郎おじさんと少年の旅にも別れの時が来る。北野武は鮮烈な暴力表現のほかに、実は無邪気な戯れのシーンも描かれることが多い。もはや説明不要の代表作『ソナチネ』も、遊んでばかりの中に、フリなしで突如として勃発する暴力によってあっけなく人が死ぬ。

このシビアな死生観のようなものは『菊次郎の夏』にもつながっており、本作は暴力や死などは描かれないが、人の出会いと別れが描かれる。人生、いろんな人に出会って、刹那の楽しい時間を過ごし、やがて別れていく。別れた人とは、多分もう二度と会うことはない。多分、会っても、なんか違うのだろう。少年と母親の関係性のように。楽しいからこそ、全編漂う切なさのようなものは、実はあのシビアな死生観と地続きなのではないかと思うのである。

二階堂 方舟

ピクニックatハンギング・ロック(1975)

ハンギングロックというのはオーストラリアに独特のにょきっと突き出したような岩山地帯の名称だそうで、厳密には地名ではないらしい。だからこのタイトルを日本語に直訳すれば岩山地帯のピクニックとでもなるだろうか。本当はそうなのだが、それにしてもなんだかゾッとさせるタイトルである。だってハンギングだと絞首刑の意味もある。女子寄宿学校の生徒たちがハンギングロックへのピクニックの最中に忽然と姿を消した・・・というあらすじを知れば、このハンギングが絞首刑としか思えなくなってくるのだ。首吊り岩でピクニック。こう意訳すれば、なんとも禍々しいタイトルではないだろうか。

映画は一応この集団失踪事件の背景を探るミステリーの体裁を取っているが、女子寄宿学校の妙にギスギスしてドロついた人間関係が明らかになれば「これなら失踪したくもなるかもなぁ」という気にはなるものの、結局事件の真相はわからずじまい。ハンギングロックというのは木の生えない岩山であるからして見通しはさほど悪くないわけで、たとえ少女たちが自分から失踪したにせよ、何者かに攫われたにしても、あまりそんなことは現実に起こりそうにない場所である。そんなところで少女たちが笑いながら忽然と姿を消してしまう。その光景は異世界への神隠しを度々描いたイギリスの異端怪奇小説家アーサー・マッケンの世界を思わせ、ホラー的な演出はなく明るいオーストラリアの陽光の中で物語の大半は展開するのだが、それがかえって言いようのない不気味さを醸し出している。そんな異色のレジャー・ファンタジー・ホラーである。

さわだ

異人たちとの夏(1988)

日本の夏のお休みと言えばお盆休みですね。実家に帰省したり、長いお休みを使ってレジャーを楽しんだりする方も多いと思いますが、元々は祖先の霊を祀る日であります。そんなお盆休み期間にピッタリな映画といえばコレ!大林宣彦監督作『異人たちとの夏』だ!!

主人公は脂が乗った人気脚本家。ただ妻子と別れ、親友のプロデューサーからは元妻との交際宣言を唐突にされるなど、私生活はボロボロだった。そんな男が仕事帰りに地元の浅草にフラッと立ち寄ると、そこには見覚えのある男の姿が…。それはなんと彼の亡くなった父親そのものだった…。

下町情緒溢れる浅草に、昭和30年代を閉じ込めたような小さなアパートに住む両親の姿は、その時代に生きた人で無くても思わず郷愁に誘われてしまう事でしょう。12歳の時に事故で両親を亡くしてしまった中年男性が、両親の前では子供のように振舞ってしまう姿には思わず胸が熱くなってしまいます!それでもその幸せは長くは続かないというのは分かっちゃいるけどかなり辛い…。

郷愁に溺れず、目の前の現実をしっかりと生きていこう!というストーリーは、実際に10歳の頃に母親を亡くした原作者、山田太一の強いメッセージが込められている部分だと感じます。作品終盤の大林宣彦印のエロティックでパワフルな演出はかなり気になる(笑)部分ではありますが、なかなか会えない、またはもう会えなくなった両親をふと思い出してしまう作品として、まさにお盆休みにピッタリな映画と言えるでしょう!

2023年にイギリスでリメイクされた『異人たち』のスタイリッシュな演出と比較してみるのも面白いかもしれません。夏休みに是非是非!

ぺんじん

丹波哲郎の大霊界2 死んだらおどろいた!!(1990)

幽霊はどうして出るのかという理由は大抵の幽霊映画では現世への未練や怨念と説明されるものですがこの映画では違います、幽霊はなんと天国の素晴らしさを伝えるために地上界に下りてきて必死に自分を殺した人にありがとうと言うのですが、人間には幽霊は中途半端にしか見えないのでこの感謝の言葉は伝わらず、「怖いオバケに憑かれてしまった!」とパニックになった末に人間は自殺してしまったりするのでした。それを見て幽霊たちあららという顔。おかしいなぁ、僕たちは単に感謝を伝えようとしただけなのになぁ・・・むしろ怨念とかよりおそろしい幽霊である。

霊界博士の丹波哲郎畢生の『大霊界』シリーズ第二弾は天国レジャー編。死刑囚の丹波が死んで霊体化、天国に連れて行かれるのだが、この天国が一面お花畑でなんにも面白いところのない虚無の世界。しかし霊界博士の丹波は大感動して「神様ぁぁぁぁぁ!!!」とお花畑に向かって叫んでしまう。何もないと思われた天国であったがひとつだけ大きな聖堂のようなものがあった。こちらも何人かのお姉さんがよくわからないダンスを何分間か踊るだけ踊って去って行く以外に何もイベントがなく中はがらんとしたやはり虚無なのだが、丹波にとっては最高のレジャーなのであった。

でも段々飽きてきたのかその後いろんな芸人が酒飲んで騒いでる地獄に行ってみる展開になってそっちの方が断然演出がノリノリというあたり「おい!」とツッコまざるを得ない。冒頭のカーチェイスとか丹波はかなり楽しそうに演じているが別に霊界関係ないし。レジャーとは何か、天国とは何か、人生とは何か、そして映画とは何か、夏休み期間を利用してぜひとも考えたくなる映画である。

さわだ

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