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特集

【ムビトイ万博2025】 きみは万博を見たか? 激動の大阪・関西万博現地レポパビリオン (2025/08/23)

 2025年8月23日土曜日。甲子園球場では高校球児たちが高校野球決勝戦を控える中、一人のルポライターが大阪夢洲へと歩みを進めていた…。男が目指していたのはそう、大阪・関西万博の会場。ある夜枕元から聞こえてきた「こんにちは~…こんにちは~…西の~国から~…」という謎の言葉を追いかけて、万博の真実の姿を明らかにすべく埼玉からやってきたのだった。前日少し飲み過ぎたせいで太陽の光が眩しく感じる中、新大阪駅から本町駅へ、そして中央線に乗り越えて夢洲駅へ。夢洲駅へ到着したのは9時過ぎと予定より少し遅くなったが、既にそこには万博に向かう大勢の人が!ここから12時間以上にも及ぶ激動の一日が始まるとは、このベテランルポライターも想像だにはしなかったのだった…。

夢洲駅は今回のための万博に作られた駅だけあって、構内は結構広い。
(夢洲駅から会場に向かう階段。『戦艦ポチョムキン』に出てくるオデッサの階段っぽい)

9時開場にも関わらず、既に東ゲートには多くの人が!8月の日差しとアスファルトからの照り返しがかなり身に応える…。列の途中で係の人が日傘を貸してくれるという親切対応。自分は日傘を持ってきていたが、事前に調べていた通り日傘か帽子が無いとかなり厳しい。スッと左端の列に並び、入場待機だ!

空港の入り口を思わせるようなデカい東ゲート。朝9時なのにめちゃくちゃ暑かった…

30分ほど列に並び、持ち物検査を終えていよいよ入場!会場の主、ミャクミャク氏に一礼すると、会場の奥にグングンと進んでゆく。人は多く入っていても会場が大きいため、午前中はどこも空いている。とくにコレといって目当てが無かったため、空いてそうな所に手当たり次第に入場だ!足で稼ぐ!!

東ゲートから入ると正座でお出迎えしてくれるミャクミャク氏。大人しそうに見えるが、油断してはいけない。
報道で散々批判された大屋根リング。日差しを避けれて涼しい。

入ったのはカタール館、UAE館、トルクメニスタン館、シンガポール館、スペイン館、トルコ館、アゼルバイジャン館、コロンビア館。どの館もその国の歴史、文化、風土が紹介されていて面白かったが、ちょっと変わった展示があったのはシンガポール館。体験型の展示があり、そのディスプレイに自分の夢を描くと、スロープを上った先のドーム型スクリーンにその夢が3分後ぐらいに表示される仕組みとなっているのだ!自分は独りだったたため、夢は書かずにただスクリーンに映される夢を見上げていた…映画『CASSHERN』の主題歌を思い浮かべながら、知らない誰かの幸せを願って…。

シンガポール館。真っ赤な鱗をつけた球体みたいな建物。
知らない人が描いた夢を見上げる時間…

万博という事で太陽の塔Tシャツを着てきていたのだが、残念ながらミャクミャク氏Tシャツを着ている人ばかりだった…。ルポライターは岡本太郎の志を独り受け継ぎながら、万博の広い会場を練り歩くのだった。

吹田市の万博記念公園で買った太陽の塔Tシャツ。誰も来ている人いなかった…
外装から圧の強いトルクメニスタン館。
入り口から入るといきなりトルクメニスタンの大統領の肖像画!圧が強い!!
スペイン館外装。
一瞬『2001年宇宙の旅』でHAL9000のスイッチを切る部屋みたいになった、スペイン館内装。

昼12時ごろになってくると会場も段々と混雑してくるので、大屋根リングの上に上ってみる。やはり大屋根リングの上はかなりの暑さ。主に建設にかかった費用に批判殺到だった大屋根リングだったが、会場をグルっと見渡せるし、大屋根リングの下では直射日光を避けられるしで、万博会場の目玉としては外装面、機能面においてもなかなか悪くないんじゃないかなぁと思った。あとは万博後にも有効活用できるかどうかだけど…。

大屋根リングの上。場所によっては二段構成になっている。
「わっはっは!人が見える!ゴミのようだ!!」

午後1時を過ぎると会場は人だらけに!どこのパビリオンも60分~90分待ちになったたため、比較的人が少なめなコモンズ館(色々な国が小さな展示をしている)に入ったり、野外でラトビアの民族音楽を聴いたり、アンゴラの知らない料理を食べたりと、夕方の花火までゆっくりと時間を過ごす。歩きすぎてこのあたりから両足爆発館に…。

酷暑の中民族衣装で歌を歌う、ラトビアのみなさん。
アンゴラ料理、フェイジョアーダ。見た目はあんまりだけど、豚肉と豆のシチューみたいで美味しかった。

ふとトイレに立ち寄ると、そこには石の屋根が!報道では散々批判されていたが、まぁオブジェの一つとしては周りに馴染んでいた。日除け効果は正直ほぼ無いと思うが、トリエンナーレとかでこういったアートは見ているのでそんなに違和感は無かった。費用はかかるかな…

石の屋根。アート作品ですね。

夜7時過ぎにはいよいよ花火!なんとこの日の花火はなにやら特別な花火(打ち上げらなかった花火が全国から集合)だったらしいが、なにも知らずに鑑賞。花火が始まるとその音の大きさに小さな子どもたちがギャン泣き!「こわいよ~!」と泣き叫ぶ子どもたちの声をかき消すような大迫力の花火に圧倒された…。

こんなに近くで花火を見るのは久しぶりだった。子供が泣くほど音がデカい!

その後ご飯を食べたり、大屋根リングの上を散歩したりしていると、予期せずに噴水ショーが開幕!一時期はレジオネラ菌の問題があった噴水ショー。予約を取れば最前席で観れるが、大屋根リングの上からでもその迫力を感じ取る事ができた。(ただ、ショーのストーリーは分かりにくいかも。)

大屋根リングの上は夜もまた良き。
噴水ショーにプロジェクションマッピングがくっついてる感じ。火も出たりして大迫力だった。

もうこれで終わりだろうと思っていたら、夜9時過ぎにはドローンショーが開幕。ドローンショーは初めて見たが、何にもないはずの夜空に光の像が浮かび上がっているのは見たことが無い感じで凄かった…。ショーの最後は帰り道を教えてくれたりして、なんだか一番テクノロジーの進化を感じた。

ドローンショー!テクノロジー!
最後はドローンで帰り道を教えてくれた。

また昼とは違う雰囲気のパビリオンを名残惜し気に観ながらも、帰るまでが万博!最後のドローンショーの終わりが夜の9時20分頃、閉館時間が10時のため、ここから人が一斉に出口目がけて押し寄せる!西ゲートの方が空いてそうな気はするけども、バスには事前予約が必要で、あとバスはそんなに遠くまで走らないため、ほぼ迷わずに夢洲駅が近い東ゲートへ向かう。当然の通り東ゲートは大混雑!夢洲駅の混雑を避けるために徐々にしか動かない列。東ゲートを抜けた後も列は動かず、ただゲート横に掲げられている国旗を見上げるしかなかった…。『28日後』で流れた “Boots”という詩の朗読を思い出しながら、ゆっくりと前に進んでゆく…Boots, Boots, Boots…

ありがとう。ミャクミャク氏。
進まない列。国旗を見上げる。

もしかしたら夢洲駅での野宿もあるのか…南無三…との考えが脳裏に浮かんでいたが、会場の方々や地下鉄の職員の方々の努力もあって、なんとか地下鉄に乗れることに!やはり土曜の混雑は凄まじかったが、建築物を見ているだけども楽しいし、花火、噴水ショー、ドローンショーの怒涛のエンターテインメントもあって大満足!一日4万歩歩いた足を引きずりながら、ホテルへと帰るのだった…。

マラソンを走った時を除けば、4万歩は見たことない。

【まとめ 大阪・関西万博の良かったところ】

1.自然との共生、生命の輝きというテーマで統一されていた。

今時万博?東京オリンピックもあったし、なんだか「夢よ、もう一度!」的な感じではないのかなぁ?とは思っていたけど、実際にパビリオンに入ってみると多かれ少なかれ「自然との共生」や「生命の輝き」というテーマで統一されていたように思う。1970年大阪万博のテーマは「人類の進歩」だったり、「様々な民族との融和」だったりと思うけど、今回の万博はその郷愁に浸る事無く、地球環境と人類の現在と未来をしっかりと見つめている感じがして良かった!

2.ミャクミャク氏という謎の生命体を生み出した。

やはりミャクミャク氏という謎の生命体を生み出したのが一番の功績だといえる。クトゥルフ神話を思わせるビジュアルながらも、どこか親しみを感じさせる物腰の柔らかさ。1970年大阪万博の太陽の塔に見劣りしないインパクトを人々に植え付けた。サンリオとのコラボグッズが生まれているのも強い。かつて高速のS/Aを凌駕したカトちゃんグッズの勢いも思わせるフィーバーぶりである。これからもミャクミャク氏のレガシーは受け継がれていくだろう。

ミャクミャク氏のお尻。背後への注意も怠らない。
ミャクミャク氏、NEVER DIE.

(終わり)

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