【キャワグッチ企画書探検隊】第5回 『おくりびと』の続編はなんとゾンビもの⁉ 『OKURIBITO -Farewell to the DEAD-』の全貌に迫る‼
今日も今日とて活動を続けるキャワグッチ企画書探検隊。その探検隊を率いる隊長の朝は一杯のエスプレッソから始まる。エスプレッソの苦みと強い香りを味わいながら、隊長は朝のネットニュースに目を通していた。
戦争、社会情勢に環境問題…様々なニュースが目に飛び込んでくる中、いつも世間の大きな注目を浴びているのはスポーツと芸能ニュースだ。特にネット上の芸能ニュースには否定的なコメントが目につく。芸能人同士の恋愛に結婚、そして不倫に離婚。自分と直接関係のない人間に対しても強い憧れと嫌悪感を抱いてしまうのが昔から変わらない人間の性なのだと感じる。
「やれやれ…」肩をすくめた隊長がふと窓に目を向けると、何か黒い物体がこちらに向けて飛び込んできた!黒い物体は大きな音を立てて窓ガラスを突き破り、隊長の首元をかすめた!プリウスに突っ込まれたコンビニのような光景に呆然としながらも、隊長は黒い物体を手に取る。物体を覆っていた黒い包装紙をゆっくりと剥がすとその中からはなんと未公開の企画書が出てきたのだ!
粉々になった窓ガラスを掃除しながら、明らかになった企画書の内容はコレだ!!
新企画・映画『OKURIBITO -Farewell to the DEAD-(仮)』
<企画のテーマ・訴求ポイント>
2008年公開の『おくりびと』は納棺師という特殊な職業を描いた作品でしたが、第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞するなど、世界的な評価を得た作品となりました。公開直後はハリウッドでのリメイクの話がありましたが、現在ではそのような話は聞かなくなってしまいました。ただ2021年に中国でブームが再燃するなど、人間の生と死に向き合うというテーマは世代を超えて観客の心に強く訴えかけるものがあると考えられます。
コロナ禍が収束したと思われる昨今ですが、またいつコロナのような感染症が広がるかは分かりません。本企画ではコロナ禍の状況と「ゾンビ映画」の状況を重ね合わせ事によって、極限の状況の中でどう人間が生きていくのかを「おくりびと」の視点から捉え直す作品を目指したいと考えております。また世界的に話題となった『おくりびと』の続編という事で興業の部分でも大きな収益が見込まれます。
<あらすじ with イメージキャスト>
納棺師として仕事を順調に続けていた小林大吾(本木雅弘)。妻の美香(広末涼子)との間に子どもを授かり、一見順調な生活を送っていた。ただ仕事熱心の大吾と子育てに追われる美香の生活にはすれ違いが生じており、二人の夫婦生活には亀裂が広がり始めていた。
そんな中、山形のキャンプ場で観光客が何者かに襲われるというニュースが流れる。しかも襲われた観光客自身も別の観光客を襲ったという。普段は起こらないような凄惨な事件に山形に地元住民は騒然となっており、普段の会話でもその話題で持ちきりだった。
そんな中いつものように車で仕事場に向かう大吾だったが、道路の真ん中で人が倒れているのを見つける。大吾が車から降りその人に声を掛けようとすると、倒れていたはずの男が大吾に襲いかかった。逃げ惑う大吾だったが、間一髪のところで通りかかった謎の男、ヒロシゲ(真田広之)の剣の一振りによって九死に一生を得る。
ヒロシゲの自宅に招かれた大吾はヒロシゲからこの土地の歴史を聞かされる。この土地にはおよそ100年周期で人間が人間を襲うようになる疫病が発生しており、その度にヒロシゲの先祖が事件を解決してきたという。またその疫病に襲われたものは回復する見込みが無く、死ぬまで人を襲い続けるため、首を切り落とす必要があるという事を聞かされる。そのような汚れ仕事に従事してきた人々はかつて「おくりびと」と呼ばれていたのだった。
ヒロシゲの話に半信半疑だった大吾は自宅に戻るが、人が人を襲う事件は大吾のすぐそばでも多発するようになる。大吾も間一髪の所で「ゾンビ」を退治し、警察にヒロシゲの話を伝えるが一笑に付されてしまう。その事で大吾はヒロシゲと行動を共にする事を決意し、苦労しながらもゾンビ退治に力を入れるようになる。
ゾンビ退治とともに本来の納棺師の仕事にも追われる大吾。大吾が久しぶりに自宅に戻ろうとするとそこには美香の姿は無かった。近所に住む人からは美香が別の若い男と家から出る姿を見たとの話を聞かせられる。大吾は知らなかったが、ゾンビの話の他には美香の不倫疑惑の話で持ちきりになっているとの事だった。
不倫相手の自宅に飛び込み、美香を責め立てる大吾だったが、美香からは仕事の事しか考えず、家庭を放り出している事を逆に責め立てられる。大吾はショックを受けながらも、ゾンビ退治と納棺師の仕事に没頭する事で美香や子ども、そして噂話の事を忘れようとする。ただゾンビであっても人を殺すこと、死体とその遺族との関係など悩み事は尽きなかった。
そんな中またゾンビが暴れ回っているニュースが大吾の耳に入る。事件現場は美香の不倫相手の家の近くだった。現場に辿り着いた大吾だったが、時すでに遅く美香はゾンビに嚙まれてしまった後だった。美香は子どもとの最後の抱擁を終え、子どもを大吾に引き渡す。涙ながらに大吾が子どもを連れていくと、ヒロシゲは無念ながら美香の首を切り落とすのであった。
ゾンビ事件は二人の活躍もあって徐々に収束に向かう。棺に入れられた美香を見つめる大吾。大吾は彼女の旅支度を整えながら、「おくりびと」として、そして夫として最後の言葉を掛けるのであった。
『おくりびと』とゾンビ映画の組み合わせは大変に興味深い。本企画が実現すればゾンビ映画への新たなアプローチとして、世界中で話題になる事は間違いないだろう。
引き続きキャワグッチ探検隊は失われた企画書を世界中で探していくことになる。読者の皆さんにも未発見の情報があれば是非キャワグッチ探検隊まで知らせてほしい!
ではまた会う日まで!さらばだ!
※この文章は一から十まで全てフィクションです。しかしこのフィクションを現実にするのはあなたかもしれない。