【こないだビデマでこれ買った】Vol.51 『Bakterion』(邦題:バイオ・モンスター)を買った
最近日本国内でのBlu-rayレコーダーの新規販売が終了するというニュースが駆け巡り、ついにBlu-rayの時代も終わりなのかと嘆く声がネットには見受けられたが、しかしこれはあくまでもレコーダーの話。テレビ番組などを録画するのはもう大容量のHDDで充分で、わざわざBlu-rayディスクに焼く人もいないということだろう。
録画用ではなく映画などのBlu-rayソフトの方は爆売れするソフトはないとしても一応まだ堅調なようだ。といってもこの配信時代、ちょっと映画を見たいだけの人がBlu-rayソフトを買うこともないだろうから、今やBlu-rayソフトは完全にコレクターズアイテムに移行した観がある。そうした動向がよくわかるのが4KUHDソフト。一時期同一内容の収録された(※解像度だけが違う)DVDとBlu-rayソフトのコンボがよく売っていたが、アメリカやイギリスなどでは猫も杓子も4KUHD+Blu-rayのセットで売られるようになり、あんな映画こんな映画どんな映画も最新のAI技術などの力を借りて4KUHD化というおそるべき映画新時代に突入した。
これはウソではない。なぜならイギリスで極秘研究されていた怪奇ウイルスがいつものように開始10秒で漏洩しドロドロ人間に変身してしまった怪物博士がやたらと巨乳のおねーちゃんばかりを食い殺して町中パニックというにこのイタリア/スペイン合作のBakterionもまた4KUHD+Blu-rayのセットで発売されたからだ。はたしてこんな映画を4KUHDで見たところでいったい何になるのか・・・?いや、しかし、見方を変えれば完全なる蕩尽行為という意味で、中世の王様の豪奢な食事会のようなゴージャス気分が味わえるのかもしれない。当方4KUHD視聴機器は現在のところ所持しておりませんので王様気分には浸れませんが・・・。
あらすじはあまりにも志が低いと言わざるを得ないBakterionだったが実際に見てみるとこれが意外や悪くない出来。ドロドロ人間になった博士が謎ウイルスを撒き散らしながら町を徘徊するという『溶解人間』のような『エボラ・シンドローム』のような設定に反してこの映画にはすごいドロドロ特殊メイクもウイルスパニック展開もまるでない。出来よくないだろそれじゃあ、と言いたくなる気持ちはわかるが、しかしこのユニバーサル・ホラーを思わせるクラシカルなモンスター・パニックの様相がなんだか妙に温かみがあって楽しいのだ。
怪物博士が街をうろつき軍がそれを追う(もちろん軍は無能なので何度発見しても必ず取り逃がす)。ウイルスが蔓延している描写は一ミリもないのでその必要性がわからないが軍は町を包囲して爆撃機で町ごと怪物を焼き尽くすつもりらしいという状況の中、怪物はまったく意味なくシャワー中の巨乳美女を食い殺し、カップルが乳繰り合ってる映画館を訪れてはスクリーンの裏側から高価なシルクスクリーンを破って登場、もちろん場内大パニックだ。エロいシーンを除けば、これは1982年というゾンビ映画全盛期にまるで乗れていないどころか、『フランケンシュタイン』のバリエーションと言っていいほど古臭い。
でもその古臭さを律儀にやってるので好感触。この手のイタリア映画ならライブラリーフィルムで済ませそうな軍隊の出動シーンをちゃんと軍用車両を用意して撮っているのだからグッとくるというものだ。『ビヨンド』のデヴィッド・ウォーベックと『地獄の門』のジャネット・アグレンの共演というのもフルチ映画好きとしては嬉しいし(ちなみに二人は『ラットマン』でも共演している模様)、派手さはなく新味はなくこれといった特徴もないが、そんな面白みのない内容を妙に真面目に撮っているという面白さは、意外とこの時代のイタリア映画には珍しいかもしれない。クラシック・モンスターらしいそこはかとない怪物の哀しさもしっかり出てるしね。そういうの好きなのよ。


